『グーリームージョーーーッ!!!』
『っせぇなアホ!!静かに入ってこれねぇのか!!』
バンッとドアを開け放って入ってきたのはロイ。
そしてその後ろをついてイールが入ってきた。
俺はロイに罵声を浴びせた後、視線をイールに向ける。
『ちったぁ教育しとけ、このクソ王子が』
『俺は知らん』
『ちっ・・・で?なんなんだよ??』
『そうそう!!聞いたよ!!ウルキオラの話。ちっちゃくなっちゃったんでしょ??』
『あぁ〜・・・・・もう回ってんのかよめんどくせぇ。さっきからいるだろうがココに』
スッと俺が言葉と共に目を下へ向けるとつられてロイとイールも目を下に向けた。
正確には俺の足元。
そしてそこに見つけた白く小さなウルキオラを見て目を丸くする。
その姿を見た途端、ロイは目をきらきらとさせてその場にバッとしゃがみこんだ。
『これがウルキオラ?!ちっちゃーい・・・・・こんにちわ。俺、ロイって言うんだ!!』
『ぁ・・・・ろ・・・ぃ?』
『うん!!そうそう!!』
チビウルはロイの元気さに圧倒されたのか、俺の足にしがみ付きながらも必死にロイの言葉に答えようとしている。
ロイの精神年齢が低いせいか、チビウルも少しは話しやすいみたいだ。
初めは戸惑っていたものの、だんだんと笑みがこぼれるようになって・・・・。
いつの間にか俺の足にしがみ付くこともなく、でもまだ少し裾を握っている。
『コレがウルキオラなのか?確かに面影はあるが・・・・・』
『よくわかんねぇから藍染様に調べてもらってっけど・・・・・』
『急になったのだろう?なにか原因はわからないのか?』
『わかってたら苦労しねぇよ。とりあえずこっち来て座れ』
イールと話をしながら足元のチビをひょいと抱き上げる。
そのままツカツカ歩き、ソファへとチビを下ろしてから俺もその隣に腰を下ろした。
ロイとイールも腰をかける。
『やけに面倒見がいいなグリムジョー。そのチビがウルキオラだからか』
『っせぇな。藍染様に任されたからだ』
『ふん、どうだかな』
少し見透かされた気がした。
やはりはたから見てもそうなるらしい。
「ウルキオラだから」俺はこのチビの面倒をみる。
本当は・・・このチビがウルキオラだという確信が俺にはあったからこんなに真剣に面倒をみていた。
「よくわからねぇ」とか藍染様に調べてもらう必要なんて初めからそんなものなかったんだ。
そりゃ初めて見たときは焦ったし本当にウルキオラなのか迷ったが・・・・・。
霊圧も・・・・匂いも・・・・抱きしめたときの感触も、全部全部ウルキオラだって俺の本能が叫んでた。
そりゃ抱き心地はチビの方が断然柔らかいのは確かだが・・・・・言葉じゃ説明しにくいが・・・・・ウルキオラなんだ。
だから・・・・イールフォルトが言ったように俺はこいつがウルキオラだから面倒をみる。
結局は図星で・・・・・。
別にイールフォルトとかロイに意地張る必要もねぇけど、見透かされて、はいそうです。なんて答えたくなんかねぇだけ・・・・・・。
『で?どうなんだグリムジョー。小さくなったウルキオラとの生活は』
『あーーーー・・・・こいつ風呂の入り方もなにも知らなくてよぉ・・・・』
ロイがウルキオラの相手をしている間にイールは俺に次々と質問を浴びせてきた。
隠すのも面倒になって、俺はもう全てを話すことにした。
だから風呂に一緒に入ったことも話したし「あつい」って言葉の意味を取り違えた話もした。
そしたらイールフォルトは大分驚いて・・・・・。
『グリムジョー・・・・・理性飛んだりしないのか?』
『・・・・・飛びそうになったってよぉ・・・・・アイツの体があんなんじゃさすがに手なんか出せねぇだろ』
『結構ギリギリなんだな』
『・・・・・・・』
『まぁ利口みたいだしよかったじゃないか』
『確かにな』
そこから結構な時間話し込んで・・・・ロイとチビウルは信じられないくらいに仲良くなった。
それはよかったと思うが・・・・・少し寂しいと思ったのは嫉妬だろうか・・・?
『ロイ、そろそろ帰るか』
『え〜、もう?』
『ずいぶん遊んだだろう』
『そうだけど・・・・。じゃぁまた遊びに来るね!ウルキオラ』
『あぁ・・・・・ウルキオラ、ちょっとこっちに来い』
『・・・??』
出て行き際にウルキオラを呼び寄せるイールフォルト。
そしてなにやらボソボソをウルキオラの耳元で呟いた。
俺にはまったく聞こえない。
だがロイもイールも最後に俺を見てニヤッと笑ってドアを閉めた。
なんなんだ・・・と思いつつ駆け寄ってくるウルキオラに片膝をついて身長を合わせて迎えてやると、なんのためらいもなく飛び込んでくる。
『イールになに言われたんだ?』
『んっと・・・・・』
ちゅぅ。
『なっ?!?!?!』
俺は一瞬固まってしまった。
待て待て待て。
なんだコレは。
飛び込んできてしがみついてきたかと思ったらいきなりキス。
しかも口に。
普通このぐらいの歳のやつにキスされたって「可愛いな」ですませんのかもしれねぇけど・・・・・・これは違うだろ!!
非常にまずい・・・・・
今の俺にコレはまずい・・・・・。
あいつら・・・・・・わざとこういうこと教えやがったな・・・・・。
絶対殺してやる・・・・・。
『あ〜・・・・あのな、こういうことすんのやめろ』
『なんで・・・?』
『こういうのは、本気で好きなヤツとすることだ。・・・って意味解るか?』
『ボクはぐりむじょーのことだいすきだよ?ぐりむじょーはボクのこときらいなの?』
『・・・・嫌いな訳ねぇだろ・・・・』
『じゃぁすき?』
『・・・・・あぁ、俺はチビのことすげぇ好き』
『じゃぁちゅぅしてもだいじょーぶなんでしょ?』
『あっ・・・・こらッ』
ちゅぅちゅぅと柔らかな唇を押し付けてくるチビウル。
イールとロイはどんな教え方したんだよ・・・・。
好きなんて言葉知ってると思わなかったけどな。
つーかマジでヤバイ・・・・・。
俺はひょいっとウルキオラを抱き上げてキスをとめる。
キスと呼べるほどのものでもないが今の俺には相当きつい物がある。
とめられたチビウルは不服そうに頬を膨らませていたが・・・・・それを指でつついてやるとへラッと笑みをこぼした。
しかしそれもつかの間で、しゅんとした顔をする。
それにギョッとしてどうした?と聞いた。
『ぐりむじょーはボクにちゅぅしてくれないの?』
『は・・・?』
『だってぐりむじょーはボクをすきって言ったのに・・・・』
『あ〜〜〜泣くなよ。・・・・・してやろうか?・・・・なんてな。お子様が色気づくんじゃねぇよ』
ちゅっと頬にキスを1つ。
その柔らかな感触が愛おしくてもう片方には唇で噛むようにキスをした。
それがくすぐったかったらしくチビウルは高い声をあげて喜ぶ。
変ことを憶えさせてしまったか・・・・と思ったがまぁこれくらいのこと、スキンシップだと思えば大丈夫・・・・・だよな?
『ねぇイール、いまごろウルキオラ、グリムジョーにちゅぅしてんのかな?』
『さぁな。グリムジョーが理性ぶっ飛んでたらもう犯罪だけどな』
『イールも意地悪だよねぇ』
『お前はウルキオラと長い間なんの話をしていたんだ?』
『ん〜・・・・・スキとかキライとかの話。ウルキオラはグリムジョーのこと大好きだってさ。本当に意味を理解してたかはわかんないけど』
『じゃぁ俺が言ったスキならちゅうしてやれ≠チて言う言葉の意味は理解出来たんだろうな』
『そうなるね。俺達ってすごいね。なんの打ち合わせもなく上手くいっちゃったよ』
『おもしろくなりそうだな・・・・・』
end