『あ〜ァ。ほんまにちっちゃくなってしもたんやなァ、ウルキオラちゃん』
『・・・・?』
『あらら・・・・なんや知らんけど怯えさせてもぅてる?』
『テメーに警戒しないやつなんざいねぇよ』
外に出たいというウルキオラと2人で少し散歩をして帰ってきたところに市丸と出くわした。
市丸はウルキオラの姿を見ると、歪んでいる口をさらに吊り上げて笑い、ウルキオラと身長をあわせるためにしゃがみこんだ。
ウルキオラは途端に俺の足にしがみ付き、後ろに隠れてしまう。
チビでも防衛本能はあるらしい。
『僕、市丸言うんや。よろしゅうなァ、ウルキオラちゃん』
『ぅ・・・・うる・・・き・・・・おら・・・・です』
『怯えなくていいぞ、チビウル。(たぶん)なんもしてこねぇと思うから』
『ひどいなァ。なんもしぃひんよ。そや、飴ちゃんやろか?』
市丸がゴソゴソと懐をさぐり、包みに包まれた飴を1つ取り出し、俺の後ろからこっそりと覗いているウルキオラに差し出した。
『ちょぉっと待て。その飴、普通の飴なんだろうな?』
『なに言うてますのん。普通の飴ですやん。藍染さん印の』
藍染印。・・・・・・それがまず怪しい。
市丸もそれを言ってから気付いたらしく、なんともいえない顔をしている。
でも・・・・見たところ普通の飴だ。
聞くと、市丸も食べているらしい。
なら安心か・・・・と、俺はチビウルをぐいっと引っ張って前に出させ、後ろにしゃがみ後ずさりそうなウルキオラを支える。
『飴くれるってよ。甘くて美味いからもらっとけ』
『あまい・・・・・?』
『甘いでぇ。ウルキオラちゃんも気に入ると思うわ』
『・・・・・・・・あり・・・・がと・・・・・』
『お利口さんやなァ。ちゃぁんとお礼言えるやなんて』
チビウルはおそるおそる手を伸ばして市丸の手の上に乗っている飴を取る。
怖がっているくせにちゃんとお礼を言うと、市丸はよしよしとチビウルの頭を撫でて立ち上がった。
それに合わせて俺も立ち上がる。
『大変やなァ。ウルキオラがこんなことになってまうやなんて。でも・・・・意外に面倒見えぇんやね』
『うるせぇよ』
『あァ・・・・ウルキオラ限定か。まァ頑張り。ほな』
市丸が姿を消した後、俺はスッと視線を下げてウルキオラを見る。
手の中の包みに入った飴を不思議そうに見つめているウルキオラ。
俺はよしよしとチビウルの頭を撫でて、小さな手を取り歩き出す。
食べるのは部屋に戻ってから。
食べながら歩いて喉を詰まらせるといけないから。
そう言い聞かせると素直に返事をするチビウル。
本当にいい子だな・・・・・と苦笑し、足早に部屋へと向かった。
包みを見ると桃の絵柄が入っていた。
桃味なんだろうな・・・・と思いながらその包みを開けてやって、口を開いて待つチビウルの口の中に放り込んでやる。
コロンと音がして、ウルキオラは口の中でそれを転がして遊ぶ。
『おぃひぃ!!』
『甘いだろ?気に入ったか?』
『ぅん!!』
本当に気に入ったらしく、ウルキオラはとても嬉しそうだ。
小さい飴だったからか、それはすぐにウルキオラの口の中からなくなっちまったけど・・・・・。
物足りなさそうなウルキオラの顔。
困った・・・・・。
そんな可愛い顔を見ると上げたいのはやまやまだが・・・・・俺は飴なんか持ってねぇ。
どうしたものか・・・・と考えていたところで、近くに霊圧を感じる。
俺はバッとドアを開けて外に飛び出し、その霊圧の主を捕まえる。
『なんやのん?そんなに急いで??』
通りかかったのは市丸。
さっき飴をくれたこいつなら飴を持っているはず、とグリムジョーはふんだため、急いで部屋を飛び出したのだ。
そして・・・・・なぜかその後をついてきたウルキオラ。
グリムジョーが急に部屋を飛び出したからビックリしたのだろう。
少し不安そうな顔でグリムジョーにしがみついた。
『あ〜ァ。泣かしたらあかんよ?で、どないしたん?』
『飴。飴持ってねぇか?』
『飴?あァ、ウルキオラちゃん気にいったんかいな。持っとるよぉ、あげるわぁ』
『あっ・・・・・あめ、ありがとう!!おいしかった!!』
『ん?えぇよぉ。今はこんだけしか持ってないから、また今度いっぱい持っていってあげるわァ』
ついさっきまで怖がってたくせに、よっぽど飴がおいしかったのか、ウルキオラはすっかり笑顔で市丸と話している。
おいしいものをくれるいい人、安心できる人、だと認識したんだろう。
まぁ・・・・市丸が飴くれるみたいだしよかったけど。
市丸は、今持っている分だと言ってウルキオラの手に飴を3つ乗せた。
また今度くれるみたいだし・・・・・・しばらくは飴ばっか食ってるだろうなぁ・・・・と思いつつ、また部屋へと戻った。
今度のは桃ではなく、ぶどう、苺、オレンジの3つだった。
苺から開けてウルに食べさせると、これも気に入ったようで・・・・・。
『そんなにいっぺんに食ったらダメだからな。虫歯になるぞ』
『うん!わかったぁ。いたいのヤダもんね』
食べ過ぎるといけないのは分かっているらしく、ウルキオラはその苺を食べ終わった後、グッと我慢していた。
その姿が可愛くて・・・・食べていいぞ、と甘いことを言いそうになったが、ウルキオラがせっかく我慢しているのを俺が潰すわけにもいかなくて、俺もなぜか我慢しているような気分になっていた。
その次の日、市丸は山のように飴を持ってきた。
ウルキオラの目が輝いていたが・・・・・
いくらでも食べてしまいそうなので、1日3個まで、と決めてやる。
するとウルキオラは自分で時間配分を調節しながら、しっかりと1日3つまで、という約束をまもっている。
たまに、ちゃんと護れているご褒美だと、もう1つ食べていいと言う許可をだしてやると、本当に嬉しそうに微笑むウルキオラ。
とてつもなく可愛い。
お気に入りは桃のようだ。
そのご褒美に選ぶ味は決まって桃だ。
ただ・・・・・・
その飴を食べた後のウルキオラからのキスは甘い。
いろんな味がして・・・・・・。
嫌って訳じゃない。その逆。
むしろハマりそうで怖ぇんだ。
ウルキオラの唇が、甘くて美味いから。
ついつい長いキスになって・・・・・。
理性飛んで無意識になりだすと本気で深いキスをしそうで。
実はこの前ヤバかった。
危うく舌入れちまうとこだった。
寸でのところでウルキオラが
んっ・・・・ぐりむじょっ・・・・くるしっ・・・・
と言ったから慌てて唇離したけど。
マジでヤバかった。
さすがにこんなちっちぇーやつにベロちゅうはできねぇだろ。つか犯罪か??
マジでこのキスはあぶねぇ・・・・・。
つってもウルキオラがキスやめるわけねぇけどな。
飴取り上げるわけにいかねぇし・・・・・。
なんとか理性保たねぇと・・・・・。
頑張れ俺!!
つーかよ・・・・・・・・
ウルキオラっていつまでこのままなんだよ??
ほんとに元に戻んのか?!
end