ボクがスキなもの。

市丸様にもらった飴玉。

とくに桃がスキ。


 それから、ちゅぅ。

イールとロイに教えてもらったんだ。

大好きな人にはちゅぅするんだって。



 それから、それからね、

大好きな人。

ぐりむじょー!!

1番大好きなんだぁ。

だからちゅぅするの。

大好きだから。

ぐりむじょーもボクをスキだって言ってくれるよ。

ちゃんとちゅぅもくれる。

ぐりむじょーとちゅぅするのがスキ。

やわらかくて、甘くて・・・・・・ときどきちょっとくるしいけど、ぐりむじょーの服にぎったらやめてくれるの。

でもね、くるしいのもスキなんだぁ。

もっともっとちゅぅしたくなるもん。



でも、なんでこんなにぐりむじょーがスキなのかな??

ずっと一緒にいるから?

一番最初に会った人だから??

うーーーーーん・・・・・

どれも違う気がするんだ。

だってね、ボク初めてぐりむじょーを見たときから、なんだか胸の奥がぎゅうってなって、どきどきいってて・・・・・。

初めてロイを見たときも、イールを見たときも、藍染様も市丸様も。

こんなふうにはならなかったんだ。

ぐりむじょーだけ。

それで、ロイの話を聞いて・・・・ボクはぐりむじょーがスキなんだって思ったんだ。

でもね、なんか変なの。

ずっと前からぐりむじょーを知ってたような・・・・

ぐりむじょーのことが大好きだったような気がするの。

なにか、大切なものを忘れているような・・・・・変な感じ。

そんなことあるわけないのにね。




でも、ボクを見るたびに、みんなが変な反応をするんだ。

ボクを見て小さくなった≠チていう。

みんなはボクを知ってたのかな?

ボクになにがあったんだろう?

ボクは・・・・なに?










『・・・・・・チビ・・・・・チビ・・・・・大丈夫か?チビウル』

『・・・・・・・??』

『目覚めたか??だいぶうなされてたぞ??』

『・・・・・むじょー・・・・』




 ボクは上から心配そうに見下ろしているぐりむじょーに抱きついた。

ぐりむじょーはビックリしたように、でもしっかりとボクを抱き締めてくれた。

息が荒い。

くるしい。

胸が痛い。

ぐりむじょーに対する感情の痛みじゃなくて。

押しつぶされそうな・・・・・。

不安とか、そういう嫌な感じ。

ボクはそこにぐりむじょーがいることを感じたくて何度もぐりむじょーの名前を呼んだ。




『・・・りむじょ・・・・・ぐりむじょ・・・・』

『大丈夫だ。ココにいるから。・・・・な?』




 背中をポンポンと叩くぐりむじょーの手と、耳元で聞こえる声に、だんだんと安心感が戻ってくる。

ぎゅぅっとしがみつくと、ぐりむじょーが同じようにぎゅぅっと抱き締めてくれる。




『落ち着いたか?汗びっしょりだな・・・・・。風邪引くから風呂にでも入るか』

『うん・・・・』




 ぐりむじょーがボクの前髪を掬い上げながら言う。

うまく返事が出来なかったのは心に引っかかるものがあったから。

ぐりむじょーもたぶん気付いてたと思うけど、そのときはなにも言わずに黙ってボクを抱き上げて、お風呂場へつれてってくれた。











『ミルク暖めてやったから、飲むか??』

『うん、ありがとぉぐりむじょー』





 手にコップが渡されて、それを飲むと少しホッとして。

飲んでいる間にぐりむじょーはボクの髪を乾かしてくれていた。




『怖い夢でも見たか?』

『・・・・・・・ねぇ、ぐりむじょー・・・・』

『ん?』

『ボクは・・・・・ボクじゃなかったの?』

『・・・・・・どういう意味だ?』

『みんな、ボクを見て小さくなったっていう』

『・・・・・・』

『ボクになにがあったの??』




 ぐりむじょーの困ったような顔。

困らせてるのはわかったけど・・・・・わかってて聞いてるボクは悪い子なのかな?

でも・・・・・ぐりむじょーの反応で、なにかあったことはわかって・・・・・。

聞きたくて・・・・でも聞きたくなくて。

ボクはどうしたらいいのかな?

わかんなくて泣きそうになったとき、ぐりむじょーがボクを自分の方に向きなおらせた。

ボクはぐりむじょーを見ることが出来なくて・・・・・

それでもぐりむじょーはボクのことをまっすぐ見つめていた。





『なぁチビ、あのな・・・・・お前は、急に小さくなっちまったんだよ。数日前までは俺と同じぐらいの歳だったんだ』

『・・・・ぐりむじょーと?』

『あぁ・・・・』




 ボクはちょっと納得した。

みんなが驚いていたわけも、・・・・・・ぐりむじょーに対する気持ちも。

ボクは大きいときも、きっとぐりむじょーをスキだったんだろぉな・・・って。




『ボクがおっきかったとき、ぐりむじょーはボクのことスキだった?』

『・・・・当たり前だろうが。今とかわらず大好きだったぜ』

『きっとボクもぐりむじょーのこと大好きだったよ』

『ん??なんでわかんだよ?』

『んっとね、ぐりむじょーに会ったときから、ぐりむじょーが特別だったからだよ』

『そうか・・・・・・・・・・・・・生意気なやつ』




 ぐりむじょーがニヤリと笑ってボクのお腹をくすぐり始めた。

くすぐったくてボクはじたばたと手足をばたつかせる。

そのままの勢いでぐりむじょーがゴロンとソファに寝転がった。

抱えられているボクもそのままぐりむじょーの胸の上に寝転がる形になる。

あったかい胸の上で、あったかい手がボクの髪を撫でた。

ちっちゃくなる前も・・・・ぐりむじょーはボクをスキでいてくれた。

ちっちゃくなった後も・・・・変わらずにボクをスキでいてくれた。

それがボクをなにより安心させて・・・・・。

ボクになにがあってちっちゃくなったかわかんないけど、

でも、ぐりむじょーがいてくれたら。

ぐりむじょーがスキでいてくれるならボクはそれでいいんだ。




『チビウル、お前がそうなった原因なんてわかんねぇし、戻るのかどうかもわかんねぇけど・・・・それでも俺はウルキオラが好きだからな。チビでも、もとに戻っても』

『うん!ボクもぐりむじょーが大好きだよ!!だから、なんにも怖くないの。ぐりむじょーがいるから怖くないよ!!』

『そうか・・・・いい子だな』

『うん!!』




 ぐりむじょーからの大好きなちゅぅ。

初めはおでこに、それから口に。

ちゅぅの後に優しく撫でてくれるのもスキ。




 だから・・・・これからもずっと傍にいてね?

ボクから離れないでね??

ずっとスキでいてね??

ずっとこのままでも・・・・・・








 ぐりむじょーはボクの全て。

一番おっきい存在。

大好きな大好きな・・・・・

これからもずっと・・・・ね??

ダイスキだよ!!





                                                                       end