藍染から知らせを受けてから、俺は今まで以上にチビウルと一緒にいるようにして、たくさん愛して、甘やかして。

俺の中での思い出をいっぱい増やした。

何度も何度も好きだと言った。

何度も何度も抱き締めた。

チビウルもそれに答えるように・・・・・。

そうしているうちに日は流れて、藍染が言っていた予定の日まで残すところあと1日。

明日には、もうウルキオラは元の姿に戻っているかもしれない。

嬉しくて・・・・哀しい。

本当に明日戻るかは定かではないが・・・・。





 チビウルには、何も話していない。

記憶がなくなってしまうのなら、話すこともないだろうと思ったから。

賢いやつだから、きっとまた深く考えてしまう。

チビウルにとっては、自分が消えてしまうことになるのだから。

そんなこと・・・・いえなかった。

こんな哀しいこと、チビに考えさせたくなかった。

せっかく元気になったのだから。

だからなにも考えずに・・・・・・・楽しいことだけ考えて、俺の傍にいて・・・・・・。




 変だな・・・・。

チビも、ウルキオラには違いないのに。

消えてしまうはずなんてないのに。

いつのまにかチビとウルキオラを別であるかのように考えてしまう。

俺にとっては、どっちの姿でもかけがえのないもので。

同じように、同じ分だけの愛情を注ぎたいのに・・・・。





『ぐりむじょー、ねむぃよぅ・・・・・』

『ん?あぁ・・・・もうこんな時間か。んじゃぁ・・・・寝るか・・・・・・』





 時計を見るともう11時で。

チビにはさすがに起きてられない時間。

チビが来てから、俺も早寝になったよな・・・・・。

目を擦りながら近寄って来るチビウルを抱きかかえて、ベッドへ横たわる。

隣に寝かせて、髪を撫でてやると、さらにうとうとと目をうつろにさせるチビウル。





『ぐりむじょー・・・・・おやすみのちゅぅして?』

『あぁ・・・・・・・おやすみ、ウルキオラ』





 そっと口付ける。

チビとキスするのも・・・・・最後だろうか?

そんなことが一瞬頭をよぎる。

一瞬の口付け。名残惜しげに・・・・・唇を離した。





『ぐりむじょー・・・・だぁいすき。あのね、ボクね、ぐりむじょーのことほんとにだいすきだよ?およめさんにしてね?』

『またそんなことをロイに教えられたのか?』

『ちがうよ。ぐりむじょーが、ずっとまえによんでくれたえほん。そのときに、ぐりむじょーが、いったんだよ?えほんのおひめさまは、だいすきなひとのおよめさんになるんだって』

『あぁ・・・・そうだったな』

『だからね、ボクも、だいすきなぐりむじょーのおよめさんになるの。ぐりむじょー、およめさんにしてくれる?』

『・・・・あぁ。俺のお嫁さんはお前だけだ』

『へへっ。よかったぁ。ありがとう、ぐりむじょー。だい・・・・す・・・き・・・・・・・』

『俺も・・・大好きだから。おやすみ・・・・・・チビウル』





 ポソポソとしゃべる声が規則正しい寝息に変わる。

俺が言った些細なこと、憶えていたんだな。

それで十分だと思った。

今憶えていてくれるなら、忘れたって構わないと。

お前が俺に対して言ってくれた一言一言を、俺はちゃんと憶えているから。




『俺の嫁になれんのは・・・・お前しかいないだろ?ウルキオラ・・・・・・すっげー・・・・・愛してる』





 夜なんて・・・・来て欲しくなかった。

こんなにも夜になるのが怖いと思ったことはなかった。

今度は朝が怖い。

眠りたくない・・・・・・。




俺は、チビウルを起こさないように、何度も額や頬に口付けて、その小さな体を抱き締めた。

柔らかくて・・・・・・暖かくて。

少し乳臭い匂いのする・・・・・・愛しい体。

穏やかに眠る・・・・・・・・・・・・・。



















『・・・・・・ん・・・・・・』



 ぼやける視界に、日の眩しさが容赦なく差し掛かる。

俺は、ハッとして、目の前に眠るウルキオラを見た。

ぎゅぅっと俺にしがみ付いている手は・・・・・細く綺麗な手。

抱き締めるからだの感触も、柔らかいが子供のそれではない。

久々に抱く・・・・・・ウルキオラ。

そっと顔を覗き込むと、チビだったときの面影はあるものの、やはりチビではない。

複雑な気持ち・・・・・・。

戻ってくれて嬉しい。

今すぐにでも強く抱き締めて・・・・キスをしてやりたいほど。

でも・・・・チビがいなくて哀しい。

記憶は??

やはり・・・ないのだろうか・・・・。





『ん・・・・・・・・』

『ウル・・・・キオラ・・・・・』

『・・・・・・??グリム・・・・ジョー??』






 子供のときとは違う、落ち着いた低い声。

寝ぼけながら、名前を呼ばれた瞬間、俺はウルキオラの体を抱き締めていた。

今は・・・・・なんだかもうなにも考えたくなくて・・・・。

俺のかけがえのない愛しいやつには違いなくて。

だから・・・・・・なにも考えられないぐらいに強く抱き締めた。






『グリムジョー・・・・・苦しい』

『うるせぇ・・・・・心配・・・・したんだからな・・・・』





 しまった・・・・・・と思った。

心配した・・・・なんて言ったって記憶のないウルキオラにはさっぱり訳がわからないだろう。

どうにか誤魔化してしまおうと、さらに強く抱き締めると・・・・・。




『グリムジョー、・・・・・・・・ありがとう』

『は・・・・・??』

『・・・・・・ピーチの飴・・・・食べたい』

『ピーチの・・・・・・飴・・・・??』

『早くしろ。・・・・・嫁の言うことぐらい聞け』

『嫁・・・・って・・・・・・』

『嫁にしてくれるんじゃなかったのか?・・・・・・・・グリムジョー』

『ウル・・・・・キオラ・・・・・・っ・・・・』








 少し顔を赤らめ、目を逸らしながら言うウルキオラを気付けば押し倒していて。

何度も何度もキスをした。

首に顔を埋めると、ウルキオラの甘い匂い。

耳元で何度も低く囁く。

大好きだ、愛してる

ウルキオラも素直にその言葉に頷いて・・・・・・俺の首に腕を絡めてしがみ付いた。











 ねぇぐりむじょー。

ボクね、きのう、ねてしまうまえに、おいのりしたんだ。

ぐりむじょーのおよめさんになれるように・・・・・・・・


はやくぐりむじょーとつりあうようにしてください


・・・・・・って。

かみさま・・・・・かなえてくれるといいなぁ。

やさしくて、ボクのことあいしてくれるぐりむじょー。

ずっとずーっと。おとなになっても。

せかいでいちばん、だいすきだよ。












やっと連載が終了。
なんか長かったような短かったような・・・・って感じなんですけど・・・・。
まさか自分でもこんな形で終わらすなんて想像してなかったですね;;
元に戻そうとは思っていたけど・・・・
なんか最後の方グリムジョーもウルキオラも考え込んでたし;;

毎回なんですが・・・本当に行き当たりばったり小説ばかりで申し訳ないです;;

最後、ウルキオラはちゃんと小さいころの記憶あります。
自分がちゅぅ好きだったことも、グリムジョーにいっぱい甘えていたことも。
記憶が残ることは少ない・・・・・と言われていましたが・・・・・・

そこはやっぱ愛でしょう。

グリムジョーが注いだ深い愛情。
チビウルキオラも同じように深くグリムジョーに愛情を注いでいました。
チビウルは、どこかで、記憶がなくなるんじゃないかってことに気付いていたんでしょうね。
だから、必死に忘れたくないって自分なりに思ってたんですよ。
その結果、強い絆のおかげで忘れることはなかった。

なぜ藍染さんがウルキオラが元の姿に戻る日にちがわかったのか・・・・・は、やはり藍染様だから。
いや・・・・じつは裏設定で、ザエルアポロと2人で研究して、研究を繰り返してはじき出した・・・・っていうのがあったんですけどね。
もう藍染様最強ってことで。

はい、ということで、連載が終了いたしました。
なんかもう本当に突拍子もない話で。
無理矢理なところも多いのですが、このような話にココまで付き合ってくださった方、本当にありがとうございました!!
この話は管理人も結構気に入っているので、また番外編とかも書けたらいいなぁと思っています。
そのときはよろしくおねがいしますね!
ありがとうございました!