片思いの両思い
『君が好きやで・・・・』
言われた瞬間一瞬思考が止まった。
いや、動きすぎて自分が何を考えているのかわからなくなったのかもしれない。
今確かに言われた言葉は市丸が俺を好きだということ。
それはわかった。俺の答えももう決まっている。
でも信じられなかった。
なんてったって市丸だ。
俺が真面目に返事をした後に“嘘や”なんて言われたら立ち直れない。
それが怖くて返事が出来なかった。
どうしたらいい?
俺は・・・・・市丸が好きだ。
なのに・・・・・・信じられない。
『日番谷はん・・・・返事聞かせてもらわれへんやろか?』
『・・・・証拠・・・・見せれんのか?』
『証拠?』
『俺のことが好きだって言う証拠、見せれんのかよ?』
『そやなァ・・・・・・・ほな見せましょか。嫌やったら言うてや』
『なんのこと・・・・・んッ?!』
ふいに引き寄せられ塞がれた唇。
もちろん薄い柔らかな唇で。
初めは俺の様子を見るように優しく合わせるだけ。
俺はいまいち反応出来ずされるがまま。
それを肯定の意味でとったのか市丸は合わせる唇を少し深くしてくる。
さっきよりも強く合わせられた唇に驚いているうちになにかヌメッとしたものが口内をさぐった。
さすがにビックリした俺はなんとか市丸の胸を手で押すが、体格差からかビクともしない。
それよりもさっきよりもさらに深く口付けられ、舌を絡めとられると体から力が抜け1人で立っていることもままならなくなった。
上顎をなぞられた時、とうとう我慢出来ず膝がガクッと崩れ落ちた。
『おっと・・・・足に来てもぉたなァ。・・・・・これでも・・・・信じられへん?』
『・・・・・こんなんで・・・・・信じられる訳ねぇだろぉが』
『そぉかァ。ほなもっと先のことする?』
『先って・・・・ちょっおいッ市丸!!』
『なんも怖ないよ。痛いことなんかしぃひんから。日番谷はんが僕のこと信じてくれるまで続けるつもりやけど・・・・』
いつのまにか後ろに倒されていて、上に市丸が覆いかぶさってくる。
服の隙間から少しひんやりした手が入ってきて体を撫でる。
それにビクッと体を強張らせると、市丸はクスッと笑って俺を安心させるように口付けてきた。
何度も体を撫でるために往復する手。
そのたびに反応する俺の体。
くすぐったさに体が小さく震える。市丸はそれを楽しんでいる。
『・・・ぃちまる・・・やっ・・・・』
『ほんまに嫌か?体はそんなに嫌がってへんみたいやけど・・・・』
市丸は俺の服を手際よく脱がしていく。
抵抗もむなしく、あっと言う間に全ての服を脱がされ上から下までまじまじと見つめられる。
恥ずかしさに隠すように身を捩ると市丸は俺の髪を撫で、頬に口付けた。
『そんな隠さんでも大丈夫や。綺麗やで』
『変態ヤロー』
『でも実は嫌がってへんやろ?はよ認めてもぉたらどないや?僕かて片思いのままヤりたくなんかあらへんし・・・』
『なにを認めるっつんだよ』
『証拠・・・・とか言ういうことは好きて認めてんのと同じや思わんか?』
『く・・・・っ』
確かに・・・・・。
言い返せなかった。
けど今認めるのも嫌だ。
ほんとに自分の意地っ張りな性格には自分でも呆れる。
でも嫌なんだ。まだ。
市丸に言うのが嫌だ。
黙ったままでいると、市丸もハァとため息をついて・・・・・・
『まだ信じられへん言うんやったら・・・・・しゃぁないね』
そう言った後、容赦なしに俺自身に触れた。
少し硬度を増していたそれは市丸に触れられただけでさらに硬度を増し、まるで市丸に触られることを喜んでいるようだった。
確かに俺は市丸が好きだがまさかここまで反応するとは思わなかった。
『んっ・・・・はなッ・・・』
『元気やなぁ。さすが若いだけあって・・・・』
『あっ・・・・ふぁッ・・・・』
容赦のない愛撫に追い立てられ、俺は簡単に果ててしまった。
市丸は手についたそれを艶かしく、俺に見せ付けるように舐める。
羞恥心で顔から火が出そうなほどだったが、次の市丸の行動に顔面は蒼白した。
市丸は力の入らない俺の足を持ち上げ左右に広げると秘めた場所にその俺が出したものを塗りつけた。
抵抗しても市丸は簡単にかわして・・・・・そこを解していく。
嫌だと思うのとは裏腹に嬉しそうに市丸の指を飲み込んでいく俺の体。
自分のものではないような声。
体と思いが一致しないことの恐ろしさに体が震える。
『ゃ・・・・・ぁ・・・・・いち・・・・ま・・・・ぁっ・・・』
『痛ないか?怖いことあらへんから力抜きぃ』
理性も全部とっくに飛んで行ってしまい市丸の声に安心まで憶える。
言われたとおり息を吐き、体から力を抜く努力をしてみるものの言うことを聞かないからだからは力なんぞ抜けてくれない。
それどころか逆にどんどんと硬くなっていく気がする。
思わず市丸にしがみつくとそっと背中を撫でられて何度もキスをしてくれた。
そのおかげか、体から力が抜けて指がスムーズに出入りするようになる。
行ったり来たりを繰り返し内壁を擦っていくそれは、痛いのかむず痒いのか。
しかし奥のある一点を擦られた瞬間、そのままイってしまいそうなほどの快感に襲われた。
市丸はそこを何度も指で刺激した後、スッと指を引き抜いた。
『僕のん・・・挿入てもええ?日番谷はんが嫌ならこれはほんまに止める』
『ぁ・・・・も・・・・いいっ・・・・からっ・・・・』
『おおきに。ほな力抜いといてや・・・・』
我慢出来ずに恥ずかしさも捨てて市丸を求める。
先が当てられただけでもビクッと引き腰になるのを市丸は引き寄せてゆっくりと先を当てた。
指とは比べ物にならないそれが、自分の体を開いていくのを確かに感じる。
痛い。死にそうなほどに痛いのに・・・・・・市丸と1つになりたいと思ってる。
こんなにも・・・・・市丸が好き。
『ぁ・・・・・んッ・・・・ぃっ・・・・』
『ごめんな・・・・もうちょっと我慢してや・・・・』
『んっ・・・・んぁっ・・・・』
ズズッと腰が進んだかと思ったその時、市丸が俺の顔を心配そうに覗き込んでいた。
どうやら全部挿入ったらしい。痛くないか?と聞いてくるが痛いに決まっている。でも・・・・その痛みが心地良くて・・・・ついつい平気だとか答えてしまって・・・・。
『ほんならゆっくり動くで?痛かったら言いや?』
『ん・・・・・ぅあッ・・・・』
腰を揺さぶられて甘ったるい声が漏れる。
何度も揺さぶられているうちにさっき指で感じた箇所も擦りあげられて・・・・。
そこを擦られるともうどうしようもなく感じて自分自身なんか保てなくなる。
『ぁっ・・・・あぁッ・・・・ギンっ・・・・す・・・きっ・・・好きッ・・・・』
『僕も冬獅郎が好きやで・・・・一緒にイこうな』
『んっ・・・んあぁぁっ・・・・』
これ以上ないほどに腰を揺さぶられて我慢出来ず俺が果てた瞬間、中で市丸がはじけるのを感じた。
とっさに思いを口にしてしまった俺は恥ずかしくてしょうがない。
後始末をしてくれている市丸の機嫌は最高潮にいいが・・・・・。
『晴れて両思いですなァ。冬獅郎と恋人同士やなんて・・・・・考えただけでもニヤけるわァ〜。さっきの冬獅郎もかわいかっ』
『うるせぇ。それ以上しゃべんな』
『なんや冷たいなァ。でもとりあえず信じてくれはったんやろ?』
『・・・・まぁ・・・一応』
『・・・・僕、冬獅郎のことすっごい好きやで。冬獅郎は?』
『・・・・・言わん』
『なんでやァ!!せっかく両思いなったんやで??』
騒ぎたてる市丸が悲しそうな目で俺を見つめてくる。
その顔になんだか弱くて・・・・・。
市丸みたいに真っ直ぐに顔を見ては言えないが目を逸らして口にした。
『・・・・・俺もギンが好きだ・・・・。・・・・・満足かよ?!』
『あァ。満足や!』
市丸は本当に嬉しそうに微笑んだ後、もう一度俺に口付けをした。
end