Colling・・・



『なァ・・・イヅル・・・』
『なんですかぁ?市丸隊長』
 呼ばれて振り返った途端、市丸隊長が・・・『それがあかんねや!』と叫びだした。
返事をしただけでダメだと叫ばれても・・・。でもなんか・・・ちょっと機嫌悪い・・・??というかすねてるみたいな・・・。
 
 最近少し市丸隊長の表情から考えてることが解るようになってきた。ずっと一緒にいるからだろうか?仕事が終わっても一緒にいるから。そう、僕たちは恋人同士になった。だから今日も仕事が終わってから市丸隊長の部屋へお邪魔してたんだけど・・・。何か様子が変だ。
『あの・・・市丸隊長??』
『・・・・・なんでや・・・?』
『え?』
『・・・なんでイヅルはいつまでたっても“市丸隊長”なん??』
 え・・・・そんなこと言われても隊長は市丸隊長だし・・・。市丸隊長は何が言いたいんだろう??
僕は頭がグルグルしてさっぱり解らなかった。
『なんでイヅは“ギン”って呼んでくれへんの?』
 ギンって・・・隊長の名前・・・?隊長は僕に名前で呼べって言ってるのか?
『そんなこと・・・出来る訳ないじゃないですか!隊長は隊長です!!』
『あァ・・・イヅはえぇ子やね・・・。でも今は関係ないやろ?仕事場ちゃうんやし。家帰ってきたら隊長とか以前に恋人やろ・・・・ちゃうか?』
『それは・・・そうかもしれないですけど・・・』
 恋人だからっていいんだろうか・・・?隊長のこと呼び捨てなんて・・・。呼んで良いと言われるのはすごく嬉しい。それだけ認められてる気がするから。でも・・・他の隊員に示しが付かないというか・・・。
『仕事場で呼びにくいんは解る。仕事は仕事や。でも2人のときくらいえぇやろ・・・。というより僕が嫌や。2人ん時まで仕事してるみたいで』
『隊長は・・・呼んでほしいんですか??』
『あたりまえやろ。隊長とかすごい他人みたいで寂しなる・・・』
 あ・・・すごい寂しそうな顔・・・初めて見た・・・。
『・・・・・・わかりました。これから2人のときは・・・ギンって呼びます///』
『いっぱい呼んでvV』
 さっきの寂しそうな顔が嘘のように晴れていつものにんまり顔になっている。名前を呼ぶのは少し恥ずかしくてまだ抵抗があるけど、あんな嬉しそうな顔が見れるなら呼んでも良いかもしれないvV
『イ〜ヅルvV』
 後ろからガバァッと急に抱きつかれてビックリする。背中から体温が伝わってきて暖かい。ずっとずっとこうしていたくなるくらいに、安心できて、幸せ。
『なぁイヅル・・・名前呼んで、好きや言うて?』
『・・・ギンのことが・・・好きです・・・///』
 ドキドキする・・・。今まで市丸隊長としか言ってなかったのに急にギンになるだけで知らない別の誰かに言ってるみたいな・・・でもそれは確かに隊長で・・・すごく新鮮なだけなんだなぁって思う。
『イヅ・・・もっかい言うて・・・』
『・・・///ギンが大好きです・・・///』
『僕もイヅルが大好きやvV』
 そう言い返してくれて同時にまたキツく抱きしめられる。ずっとこの人の傍に居れたらいいのに・・・。


                                                                   end