こんなにもこんなにも




『なんだよ一護、寝てねぇのかよ』

『なっ!!グリムジョー?!』



 時刻は午前2時を回ったところ。

普通ならとうに寝ている時間だが、今日は寝つきが悪くて。

突然現れたグリムジョーに驚き、ガバッと起き上がった。



『どうしたんだよ?こんな時間に』


 ベッドの横に立っているグリムジョーをとりあえずベッドに腰掛けさせて一番気になっていたことを聞く。

返って来た答えに俺は呆然としてしまった。



『何って・・・・夜這いに決まってんだろ。この時間にくりゃぁさすがに寝てるかと思えば・・・・・』

『テメーは・・・・・なんでわざわざ夜這いなんだよ?!?!会いにくんなら普通にくりゃぁいいだろうが』

『俺は寝込みを襲うつもりで来たんだ』

『サラッと変態発言してんじゃねぇよ・・・・』



 ったく・・・寝込みなんざ襲いにくるなんてサイテーなヤローじゃねぇか。

普通に会って普通に押し倒される方がまだいい。

いやいや・・・・それもそれで嫌だが・・・・・・。

寝てなくてよかったぜ・・・・。


 ちらっと横にいるグリムジョーを見ると、ムスッとした顔をしていて・・・・・。

ムスッとしたいのはこっちの方だ。

でもまぁあっちからわざわざ会いに・・・・・(目的夜這いだけど)来てくれた訳だし・・・・・・俺が機嫌とるべきか??

それもそれでふに落ちない気はしたがとりあえずコテン・・・・とグリムジョーにもたれてみる。

チラッと反応を見ると・・・・驚いたような顔。

そのびっくりした顔が可愛くて、思わず小さく笑ってしまった。

それを見てグリムジョーがなんだよ≠ニ、またブスッとして見てきたけど・・・・。



『なんでもねぇよ。・・・・・来てくれてサンキュな』


 またもやキョトンとした顔。

それに微笑み、自分から唇を近づけた。



『夜這いでもか?』

『まぁそりゃ驚いたけど・・・・・会えて嬉しいのは事実だし』

『一護・・・・・俺は夜這いするつもりで来たんだぜ?そんなに煽るんじゃねぇよ・・・・・』


 グリムジョーの視線が艶かしく揺れた瞬間、俺はベッドに押し倒されていた。

時間的にあまり大きな声も出せず、俺はぐいぐいとグリムジョーの胸を押して抵抗してみるが、体格差からかビクともしなかった。



『ちょっ・・・・おいっ・・・・んっ・・・・・グリムジョーッ・・・・やめろ・・・・って』

『誘ったのはテメーだろ、一護』

『誘・・・ってねぇっ・・・・ぁ・・・・・』



 ちゅっ・・・・ちゅっ・・・・とキスが繰り返され、首筋や耳にも口付けられる。

力の入らない腕で胸を押してみるものの、びくともせず、逆にその手を取られてベッドに縫い付けられた。

容赦ない噛み付くような口付けに意識が朦朧としてくる。

そんなことお構いなしに引きずり出される舌をしつこく吸われれば、体中が熱を帯びてきて・・・。



『んっ・・・・はっ・・・・ばっ!!服の中に手入れんな!!・・・ぁっ・・・』

『もう流されちまえよ。久々なんだからよぉ・・・・』

『んなこと言うんならもっとやり方あんだろーがっ!!』


 グリムジョーの最初の目的は夜這いだ。

久々だとか言うんなら普通に会いに来てくれりゃ雰囲気にでもなんでも流されていいかも・・・・なんて思っちまうかもしれねぇけど・・・。

こんな半ば無理矢理で流されんのなんか抵抗あるに決まってんだろ。

つってもグリムジョーにはなんもわかんねぇんだろうけど・・・。

現にチンプンカンプンという顔をしている。

それを可愛いと思ってしまっている自分はもう末期か・・・・??



『あーーー・・・・もう・・・・。わかったからんな顔すんなよ』

『・・・・??』

『シていーから。だからがっつくなよ?ゆっくりな』

『・・・・・ぉう!』



 こんなところで許しが出ると思っていなかったのか、グリムジョーは意外そうな顔をして、キョトンとした後、満面の笑みを浮かべてニッと笑った。









 がっつくなと言った俺の言いつけをちゃんと守って、グリムジョーは丁寧に俺の服を脱がせた後、優しいキスを繰り返した。

そこから徐々に昂ぶる体がお互いを求めて、息も荒くなる。

慣れた手つきで、それでもゆっくりと。

喘ぐ俺を優しい目で見つめながら、グリムジョーは俺を追い詰めていった。


『んっ・・・・んぁっ・・・・ふっ・・・』

『一護・・・・・気持ちいーか??』

『んン・・・・っリムジョー・・・・』


 生理的に潤む視界に、それでもグリムジョーを映し、コクコクと首を縦に振る。

大きな手に包みこまれて、ゆるゆると刺激されるたびにビクビクと体が跳ねて、グリムジョーの腕にしがみ付く。

ビクンと体が一際大きく跳ねて、一気に脱力感が俺の体を襲う。

ふわふわとする意識が覚醒し出す時、イッたのだということがじわじわと理解できてきて・・・・。


『ごめ・・・・・俺っ・・・・・』

『いーから・・・・・・こっちで楽しませろよ』

『ぁ・・・・・っ・・・』



 見ると、俺がグリムジョーの手に出したものを塗りつけているところで・・・・。

俺は恥ずかしさに顔を背ける。

俺自身の滑りをかりて、グリムジョーの指がそこをゆっくりと撫でる。

ぎゅっと目を瞑って耐えていると、唇に柔らかくて暖かいものが触れる。

うっすらと目を開けると、またも近づくグリムジョーの唇。

一度離れて至近距離から見つめられ、もう一度口付けられた後、頬に滑り、耳元へ。



『久々だから怖ぇのか?』


 低い吐息に乗った声が耳をくすぐる。

それでも心配するような声音に俺はぎゅぅっとしがみついて大丈夫≠ニだけ言った。


『痛かったら言えよ・・・・』


 そう言われた後にかぷっと耳を噛まれ、その熱い吐息にゾクゾクと体が震えた。

グリムジョーの指は俺に快感だけを与え、ゆっくりと広げていく。

俺の表情を見ながら、少しでも顔をゆがめると様子を聞いてくる。

愛されてるなぁとか、大事にされてるなぁとか。

グリムジョーからの愛情が溢れるぐらいに伝わってきて・・・・。



『も・・・・大丈夫だから・・・・・』

『一護・・・・?』

『早く・・・・いれて・・・・・』

『ったくよぉ・・・・・・痛かったらすぐ言え』



 ニヤリと笑ったグリムジョーに足を抱え上げられて、少しだけ構える。

それに気付いたのか力を抜くように言われた。

グリムジョーを宛がわれた瞬間、やはり力が入ってしまって・・・・・。

抜こうと思えば思うほど上手く体のコントロールが出来ない。

もどかしさに泣きそうになったところにグリムジョーが深く口付けてきて・・・。

舌を絡められて痛いぐらいに吸われ、口内を犯される。

息苦しさに喘いだ瞬間の力が抜けたその刹那を見計らってグリムジョーが腰を進めた。



『んぁッ・・・・』


それでもグリムジョーは一気に突き進めようとするのではなく、ほんの先だけを俺の中へと埋めていただけだった。

それでも圧迫感で少し苦しい。

心配そうに俺を覗き込んでくるグリムジョー。



『痛いか・・・・?』

『・・・・痛くない・・・わけじゃねぇけど・・・・・。大丈夫・・・・だから』



 そりゃぁ久々だから多少痛いけど。

ここで辞められるのもまた辛い。

俺はぎゅぅっとグリムジョーにしがみついて、先を促がした。

グリムジョーは俺の頬に口付けた後、またゆっくりと腰を進めてきた。

広がっていく感覚。痛みは少し。

我慢できないほどでもない。

グリムジョーに合わせてゆっくりと息を吐いて、中へと受け入れる。

全部が埋め込まれた後は、お互い抱きしめあってキスをして。

幸せだと笑い合って・・・・・・。


 後はグリムジョーの動きに呼吸を合わせて2人昇り詰めていく。



『ぁっ・・・・ぁんッ・・・・やっ・・・』

『ココ気持ちイイか?』

『イィっ・・・・からぁっ・・・・やぁッ・・・』



 中の敏感なところを擦りあげるように突き上げられると上ずった声が漏れて・・・・。

中にいるグリムジョーを締め付ける。

くッと眉根を寄せるグリムジョーがやけに色っぽいというか・・・・かっこいいと思ってしまった。



『なに見てんだよ?つーかそんなに締めんな』

『いや・・・・別に・・・・・。って締めてるつもりねぇって』

『きつくて動けねぇ』

『ぁッ・・・・いいながらゆさぶんなッ・・・・』

『・・・・一護・・・・・』

『ん・・・・グリ・・・・ジョー・・・』



 ふいに熱っぽく見つめられて・・・・。

さっきまでのチャラけた空気じゃなくて、真剣に。

その瞬間深く口付けられて・・・・深く犯される。

腰の律動が激しくなって、気持ちよくて・・・・・。

我慢できないと限界を訴えると、一緒に・・・と促がされて。

さらに激しさを増すその行為に体が耐え切れず、俺は外に熱を吐き出し、同時に中に愛しい熱を感じた。







『あーーー久々に一護喰った・・・・』

『喰ったとか言うな』

『何拗ねてんだ?』

『・・・・・拗ねてねぇ』

『・・・・んじゃぁ・・・久々に一護可愛がった・・・?』

『それもなんかやだ・・・・』




 腕枕をされながら、余韻に浸っているところに、グリムジョーの感想。

どれもなんか嫌な言い方。

別にいいんだけど・・・・これじゃぁ俺が犯されたみたいだ。

って別に拗ねてるわけじゃなく・・・ただ純粋にそう思ってるだけで。

グリムジョーのバーカとは思ってるけど。

そんな俺を察したのか、グリムジョーは急に俺をぎゅぅっと抱きしめてきて・・・・




『なんだよ急に??甘えたくなったのか??』

『・・・・・・久々に一護と愛し合ったなーーー・・・・・』

『なっ・・・・?!』

『コレもダメか??』

『ばっ!!・・・・・・・バーカ。十分だよ・・・』



 真っ赤になる顔を隠すように、俺もグリムジョーにしがみ付く。

髪を撫でる手が心地良くて・・・・・ずっとこうしていて欲しいとさえ思ってしまった。

ずっとじゃなくていいから・・・・

そこまでわがままは言わないから。

せめて今だけはそうしていて。


それが通じているかのように、グリムジョーはずっと俺の髪を撫でてくれていた。



                                                                      end