だいすキッス




『・・・・・・』
『グリ・・・ムジョー・・・・』


 おいおい。なんだよコレ。
どうしたってんだよ??
いや、嬉しいんだが・・・・。
俺としてはすげー嬉しいんだが・・・・・。
なんかしたっけ?
ウルキオラ怒らせるようなことしてねぇとは思うんだが・・・・。
別に怒ってる訳でもなさそうだけど。
どうしたんだよコイツは。
酒??・・・は飲んでねぇ。
変なもんも飲まされてねぇはずだ。
今日はずっと2人でいたし。もちろん俺も飲ましてねぇ。
ってことはウルキオラ・・・・・コレ素なのか?

 さっきからなんで俺がパニクっているのか。
そりゃぁパニクるって。今の状況は俺が一番ビックリしてる。

『ウルっ・・・なんだってんだよ急にっ』
『・・・るさい・・・・黙ってろ』

 俺は雑誌を読んでいた。
ウルキオラは普通に・・・いや、今思えばその時からちょっとおかしかった気がする。
やけに甘えてくるというか・・・・足を伸ばして座る俺のその足を枕にしたり体を乗せたり。
さほど気にもしていなかったが・・・・・。
雑誌の内容が気になって先に読んでしまいたかったから雑誌の方に集中してたんだが・・・・・ウルキオラは俺からその雑誌をとりあげると、ムッとした俺を無視してそのまま俺に跨って唇を合わせてきたんだ。
いよいよ驚いた俺はウルキオラの肩をグッと掴んだがウルキオラは気にせず柔らかな唇を押し付けてくる。
そして今に至る・・・というわけだが。
だからといってそれ以上のことをするでもなく、ウルキオラはひたすらキスばかりしてくる。
ウルキオラは自分がなにかしているときに邪魔をされるのが嫌いだから俺は何も手を出せず。
ただただ我慢。
実はこのまま押し倒したい。
でもなぁ。ここで機嫌悪くされても困るし。今結構いい雰囲気だしな。
なんか必死に俺にキスするコイツが可愛いし。

『ん・・・っ・・・・ふっ・・・』

 自ら舌を使い俺の舌に絡める。
小さく喘ぐウルキオラの声がエロくて・・・・・結構ヤバイんだけど・・・・。
ウルキオラが乗っかっている丁度真下にある俺自身。
ウルキオラのキスだけで熱がそこに集まっていっているのがわかる。
そろそろ本気でやばくなってきてウルキオラの体をやんわりと押し返してみた。
するととたんに不機嫌な顔。
この顔を見ると少し胸が痛んだ。
やっぱもうちょい我慢するべきだったかな・・・・とか。
いやいや・・・無理だろ俺。

『あーー・・・・なんでキスばっか・・・・?』
『・・・・・なんで止める?』

 聞いてんのは俺だってのに聞き返される。
しかもなんで止めるなんて聞かれても・・・・・。俺がヤバイからだしよぉ。
 バツが悪くて目を逸らしていたが足の上に座るウルキオラをチラッと盗み見ると・・・・・しょぼんと肩を落としていた。
その姿を見てギョッと目を見開いた。

『ちょっ・・・・なんて顔してんだよ?!』
『・・・・・・・・』
『・・・・・あぁ〜・・・・クソッ・・・』

 髪を掻き揚げウルキオラの腕を引く。
自分の胸に倒れこんでくるウルキオラを抱え込むように抱きしめ、今度は俺から唇を寄せた。
謝るように啄ばむキス。
ふにふにと当たる唇が柔らかく気持ちいい。
“悪かった”と小さく口にすると、俺と目も合わさずにそのままぎゅぅっとしがみ付いてくる。
その体を抱きしめて背中を撫でると俺の背中に回すウルキオラの指にも力が入る。
しばらくはそのままで。
だいぶ落ち着いたことを見計らってさっきからずっと疑問に思っていることを口にする。

『キスばっかしてどうしたんだよ?』
『・・・・・しかたないだろう。したかったのだから』
『だからってしつこすぎんだろ。別にキス好きだからいいけどよ・・・・(あの体勢とかがヤバかったってだけで・・・・)』
『・・・・・俺も好きだ』
『っ?!・・・・・・キスが?俺が?』
『今の話の流れでお前が出てくるのはおかしい。キスだろう』
『・・・・・』
『冗談だ。キスも好きだがグリムジョーも好きだ』
『・・・っ!!俺もウルキオラが好きだぜ』

 久しぶりに好きだなんて言葉にしたかもしれない。
いつも体を重ねて確認していたから。
つーか別に確認しなくてもわかってるから意識してなかったけどよ・・・・。
久々のわりには案外普通に口に出せたな。
ウルキオラもなかなか言わなかったくせに今日は案外素直に言った。
だから俺も言えたのかもしれないが・・・。

『なぁウルキオラ・・・俺結構ヤベェんだけど・・・・』
『今日はしないぞ。キスだけだ』
『・・・・・生殺しじゃねぇか・・・・』

 こうはっきり言うときのウルキオラは断固としてさせてくれない。
だから俺もすんなり諦められるが・・・・・・体は言うことを聞いてくれない。
泣く泣く昂ぶる気持ちを抑え、まだ飽きることなく唇を近づけてくるウルキオラを素直に受け止めていた。



                                                                      end