意地っ張り
『・・・・ッ・・・・』
体を起こしたウルキオラの口から小さく呻き声が聞こえたのを俺は聞き逃さなかった。
見るとウルキオラの顔がかすかに歪んでいる。
腰を押さえて苦痛を耐えるように。
『悪い・・・・昨日ヤりす』
『それ以上口に出したら一瞬で灰にしてやる』
『・・・・・。辛いんなら動くなよ』
『うるさい』
今は何を言っても聞かないだろう。
そう思いしばらく放っておいてウルキオラの行動を見守る。
なんとかベッドから降りたウルキオラはフラフラしながら冷蔵庫へと向かう。
開ける時に力を入れるのが相当痛かったのかまた小さく呻いた。
なんとか中から水を取り出し飲んではいるが・・・・ぎこちない仕草にハラハラする。
壁に手をつき、体を支えながら歩くウルキオラの後ろをついて歩く。
時々足がガクッとなり倒れそうになるたびに支えようと手を指し伸べる。
が・・・・・軽く払われる。
いつもなら多少赤くなるはずの手の甲。
なのに今はなんの代わり映えもしない。
それだけウルキオラが体に力を入れられていないということで・・・・・。
またも前方でガクンと崩れるウルキオラを見て、気付けば俺はウルキオラを抱きかかえていた。
『おっ・・・おいっ!グリムジョー!!おろせ!』
『うるせぇよ。こっちが疲れんだよ。もう黙って寝てろ』
腕の中で暴れるウルキオラを落とさないように押さえつけてベッドに運び無理やり寝転ばせて布団を掛ける。
乱暴にしすぎたのかウルキオラはまた痛みに顔を歪めていたが少しは大人しくなっていいだろう。
そんないつ倒れるかわからない体で歩き回られる方が気疲れする。
『グリムジョー、貴様っ・・・殺すぞ』
『ぁあ。動けるようになったらいくらでもそうしろよ』
『今すぐ殺してやる』
『よく言うぜ。フラフラのくせによ』
『黙れ・・・・』
『一緒に寝ててやるからよ、んなカリカリすんな』
ごそごそとウルキオラの横に滑り込むとすかさずウルキオラがキッと睨んでくる。
それに少し苦笑して髪を撫でると、ウルキオラも抵抗するのに疲れたらしく落ち着きを取り戻した。
それほどまでに腰が痛いのか・・・・・と、昨日ヤりすぎたことを少し反省する。
ウルキオラの頭の下に腕を入れて、腰に障らない程度にそっと抱きしめる。
大きな目でジッと見つめてくるウルキオラを見つめ返すと、バツが悪そうに目を逸らす。
そのくせ・・・・・・ためらいつつ擦り寄ってくるウルキオラ。
さっきまで殺すとかなんとか言ってたくせに・・・・。
『ほんと可愛いやつだな』
『なにか言ったか?』
『いや別に。今日はゆっくり過ごそうなって話だ』
目の前にある額に唇を押し当てるとギュッと目を瞑るウルキオラ。
それをいいことに鼻の頭や頬にもキスをして、最後に唇にもしてやるとウルキオラは少しムッとした顔をしたが、その顔はすぐ照れ隠しだということがわかった。
それが愛しくて・・・・・・。
俺は1日中ウルキオラの体をそっと抱きしめていた。
end