thunder




『ん゛〜・・・・・』

 朝からなんだか体が重い。
気だるくて・・・・・体が気持ち悪い。
それもそのはず。
カーテンを開けて見ると明るいはずの空が真っ黒な雲で覆われている。

『こりゃぁ一雨くるな・・・・うぜぇ・・・・』

 湿気で体がベトベトする。
入っても一緒なんだろうが、このベトベトがいやで堪らなくて風呂に入ることにする。
眠気覚ましも兼ねて頭からシャワーを浴びるとジメジメ感がとれてスッキリした。
適当に流し終わって風呂を出る。
熱いから袴だけをはいて上半身は裸のまま。
首にタオルを巻いて洗面所から戻ってくると、ゴロゴロっと地響きがした。
窓の外が光った後、大太鼓でもならしているような音が空全体に響き渡る。
それと同時に雨の音もしてくる。
髪をガシガシと拭きながら窓ガラスを叩きつけるように降る雨をジッと見ていると、ふいにドアがバンッと大きな音を立てて開けられた。
反射的に振り向くとそこにはウルキオラが立っていて・・・・・。

『ウル・・・・?どうしたんだよこんな朝か・・・・・・・・らッッ?!』

 ツカツカと歩み寄ってきたかと思えばふいに衝撃。
ウルキオラが勢いよく俺にしがみ付いてきたからなんだが・・・・・・。

『えらく積極的じゃねぇか?どうしたん』

 俺の言葉を遮るように響く雷の音。
その音がした瞬間ウルキオラの体がビクッと震えてギュウッと俺に一層強くしがみ付く。
それを見て俺はピンときた。

『雷が怖ぇのか?』
『・・・・・ッ・・・・』

 さっきから止むことなく光っては鳴り光っては鳴り。
その度にウルキオラは震える。
本気で怖いんだろう・・・・・と仕方なく抱きしめて背中をさすってやると、ウルキオラが顔をあげた。

『グリ・・・ムジョー・・・・』

 眉根を寄せて少し潤んだ瞳で見上げられる。
こんな可愛い姿を見た後でそんな顔を見せられたら我慢なんか出来るほうが可笑しい。
簡単に理性を手放した俺は抱きしめていたウルキオラの体をひょいっと抱え上げ、そのまま寝室へと運んだ。


『グリムジョー・・・・なにする・・・・ッ』

 ベッドの上にそっとおろした後俺はウルキオラの上に跨る。
ゴロゴロと鳴る雷の音はだんだんと大きくなり、そこら中に堕ちているようだ。
それが余程怖いらしくウルキオラはギュッと目を瞑り手でシーツをかき寄せる。
上手く手に集まらないシーツをそれでも手探りで集めるウルキオラの手を取り自分の手を絡めるとウルキオラはギュウッと俺の手を痛いぐらいに握り返した。
その手を引いて引っ張り起こすとためらいなく抱きついてくるウルキオラの背中に手を回し、耳元に唇を寄せる。

『大丈夫だって。あんなもん怖くねぇよ。俺がいるだろ?』
『ッ・・・・お前がいても・・・・仕方ないだろ・・・っ』
『嘘付けよ。じゃぁなんで真っ先に俺のところに走ってきたよ?今もこうして・・・・抱きしめられてる』
『っるさい・・・・ッ』
『ウルキオラ・・・・・雷なんかすぐに忘れさせてやるから・・・・』
『グリッ・・・・ぁ・・・っ』

 耳元で低く囁いた後、耳に舌を這わせて舐めあげる。
頬に唇を押し当て、そのまま唇に滑らせると、俺はゆっくりとウルキオラを押し倒した。
チュッチュッと軽いキスからだんだんと深いキスへ。
息が苦しくなったのか息継ぎに口を開けた瞬間を見計らって舌を差し入れ、ウルキオラの舌に絡める。
逃げようとするそれを捕まえてチュクチュクと吸ってやるとウルキオラの体から力が抜けた。
それでもまだ雷の音に反応して体を強張らせる。
それが堪らなく可愛い。
唇を首に滑らせ同時に手でファスナーを降ろし前を肌蹴させていく。
白い肌に吸い付き紅を残す。
首に開いた穴のふちを舌でなぞるとビクビクと体を浮かせる。

『ふっ・・・ぁ・・・・』

 ウルキオラの肌に舌を這わせながらだんだんと下へ辿っていく。
胸の辺りに来て尖った先を見つけると俺は迷わずそこに吸い付いた。

『ひぁっ・・・・ん・・・っ』

 漏れる嬌声をもっと聞きたくて、尖ったそれを唇で挟み甘く噛んだり舌先で突いてやったりすると、ウルキオラは無意識にか俺の髪に指を絡めて引っ張ってくる。
しかしその強さも半端なもので、俺からしてみれば強請っているようにしか取れない。

『んン・・・・ぁ・・・っ・・・』

 窓の外がピカッと光り、続いてドンッと地響きがしたが、ウルキオラの体が震えることはない。
きっともうその音は聞こえていない。
そのことにニヤッと笑って喘ぐ口をキスで塞ぐ。
口内を犯しながら体を撫でて、力を抜かせてから袴に手をかける。
ウルキオラは抵抗することなく袴を脱ぎ、さらに腕を俺の首に絡ませてきた。

『ウル・・・・・可愛いな。・・・・・もう反応してんぜ』
『ぃ・・・・ぁ・・・・っ』

 ピンと軽く指で弾いてやるとフルフルとウルキオラが震えてさらに腕に力を込めて抱きついてきた。
少し浮いた背中を撫でてやりながらウルキオラ自身をやわやわと刺激してやると俺の耳元で小さく喘ぐ声が聞こえる。
その声にゾクゾクしながらさらけ出されたウルキオラの首に噛み付くように何度もキスをするとウルキオラはおもしろいぐらいに体を震わせた。

『ぁ・・・・ンッ・・・・ぁあっ・・・』

 小刻みに体が震えた後、ウルキオラが脱力するように体から力が抜けた。
同時に手にぬるぬるとした白濁が吐き出されていてウルキオラがイッたことを示している。

『案外早かったなぁ。ウルはくすぐったいの苦手だったか?』
『っ・・・は・・・ァ・・・・』

 肩で息をしながら大きな目で睨みあげてくる。
それには口の端を吊り上げて笑って返し、お返しとばかりに体のそこらじゅうも嘗め回してやる。
そうするとイッたばかりの敏感な体にはキツイのか、普段そこまで感じない場所でも声をあげて体を震わせた。
身を捩って止めろと弱弱しく口にするウルキオラ。
いい加減止めておかないとキレるな・・・とキリのいいところで終わって、謝るようにキスをする。
ウルキオラの息が整うのを待ってから、俺は手に残っていた白濁をそっとウルキオラのお尻の方に手を伸ばし塗りつけた。
その周辺を解すように撫でてやると、そこが息づいてくるのがわかる。
それを見計らって1本指を埋めるとウルキオラがビクッと腰を揺らした。
優しく抜き差しを繰り返してそこを広げていき、徐々に指をふやす。
解しながらたまにキスを繰り返して安心させてやる。

『ウルキオラ・・・・・挿入ていいか?』
『ンぅ・・・・ッ・・・・グリ・・・っ・・・』

 いいとは言わないがウルキオラが了解しているのがわかり、俺はニヤッと笑って自身をあてがう。
ウルキオラの呼吸に合わせてゆっくりとそこに埋めていく。

『はっ・・・・ぁ・・・ッ・・・・』
『ウル・・・・力、抜けよ・・・キツイ・・・・』
『わかんな・・・っ・・・・ぁ・・・』

 膝が胸にくっつくぐらいに足を折り曲げてその上から体重をかけるように覆いかぶさる。
目じりに溜まる涙をベロッと舐め取って、そこに唇をつける。
それで気が抜けたのかウルキオラから力が抜けてグッと腰が進んだ。
その衝撃に上がる嬌声。
必死にしがみついてくるウルキオラを揺さぶって、高みへと上り詰めていく。

『ぁ・・・っ・・・・はぁッ・・・・んぅっ・・・』
『ウル・・・キオラ・・・・っ・・・・』

 声が途切れるほどに激しく腰を打ち付けて・・・・・。
そのころになると、さっきまで気になっていた雷の音が俺まで気にならなくなって・・・・・。

『ぁ・・・グリ・・・ッ・・・・も・・・・・やぁっ・・・』
『あぁ・・・・わかってる・・・・・っ・・・』

 軽く唇を重ねた後、いっぱいいっぱいな顔をしているウルキオラを見てニヤリと笑い、また腰を律動させた。
ウルキオラの呼吸が俺の動きに合ってきて・・・・・・一際大きく突き上げた瞬間、ウルキオラから力が抜け、直後中がきゅぅっと締まった。
ウルキオラがイッたことで、俺もつられるように中に吐き出していた。



『ぅ・・・・っ・・・ぃ・・・・』
『大丈夫だって・・・・怖くねぇよ』

 終わった後、当然シラフに戻るわけで・・・・・。
そうなるとさっきまで聞こえなかった雷の音が聞こえてきてまた振り出しに戻る。
今日の雷はやけに長い。
ベッドの中で体を丸めながら俺に抱きついてくるウルキオラの体をしっかりと抱きしめてやりながら背中をさする。
怖くない・・・・と何度も繰り返し囁いても怖いものは怖いのだろうが・・・・・まさかウルキオラが雷苦手なんて思いもしなかった。
目ギュっと瞑って耳をふさいで・・・・・。
子供みたいだな・・・・・。

『ウル・・・・へそ隠しとけよ?』
『・・・・・??・・・ッ・・・・』
『ぅおっ・・・今の雷すごかったな・・・・・・。あぁ・・・・雷ってのはな、へそを取りに来てんだよ。だから、へそ出してたらとられんぜ?』
『・・・ッ?!?!』

 すばやくへそを押さえるウルキオラ。
こんなもんは作り話なのに、本気にしたようだ。
現世の迷信。子供だましなのにな。
へそを押さえた分両手がふさがって耳が押さえられなくなったらしく、ウルキオラは今にも泣きそうになりながら俺に擦り寄ってくる。
その時、バッと俺の腹に片手が伸びてきて・・・・・。
押さえられているのはへそ。

『グリムジョー!!へそ取られてしまうぞッ?!』
『へ・・・っ?』

 似合わず間抜けな声を上げてしまった。
ウルキオラがそういうことをするせいだ。
俺は笑いながらその手に自分の手を重ねて、もう片方の手でウルキオラの頭を抱いた。
理性が保てなくなるのも時間の問題だろうな・・・・とグリムジョーは静かに心の中でウルキオラに謝っていた。



                                                                       end