気付いたもの〜グリver〜




 気付くとあいつのことばかり考えていて。

脳内はあいつのことでいっぱいで。

腹が立って仕方ないはずなのに気になって気になって。



 すれ違う時、無視すればいいものをいちいち突っかかっていって口喧嘩。

あいつは喧嘩とも思ってないだろう。

俺が一方的に突っかかってるだけなんだから。

相手にされていないことなんかとっくにわかってる。

だけど素通りなんか出来やしない。

なにか言わなくちゃ気がすまない。

あいつの存在全てが気に入らないはずなのに・・・・・。

突っかかった後ものすごい気分が悪い。

あいつが負けじと言い返してくるからだろうか?

なにか・・・・違う気がする。

そんなもんじゃなくて・・・・・。

自己嫌悪に近いような気持ち。

まるで突っかかったことを後悔しているように・・・。

なぜ?

なぜ俺が後悔しなければならない?

あんなやつ今すぐにでも殺してやりたいはずなのに。

それほどまでにあいつが憎いはずなのに。



いつも・・・・・本気で殺してやろうと思う。

なのに・・・・

いざ、やつを目の前にすると出来ねぇんだ。

藍染が怖いとか、やつの方が力が上であることを恐れているとかじゃなく。

そんな恐れなんかありゃしねぇ。

じゃぁなぜ?

なぜ殺す気がなくなる?

いや・・・・・殺すことをためらう?




 答えはとっくにわかってるんだ。

ただそれを認められないだけで。

まだそれが俺自身信じられていなくて。




 あの目がいけない。

あの目で見られると全てを見透かされているような気分になる。

あの大きな翡翠に見られるだけで、全てを奪われたような気になる。

それがいつしか嫌な気がしなくなって・・・。

もっとその翡翠に俺を映したくて

少しでも俺をやつの目に焼き付けたくて。

すれ違うたびにつまらないことで突っかかった。

そうすればやつが俺を映すことを知っているから。

冷たくあしらわれても、嫌でもやつは俺のことを考えるようになるから。

その瞬間だけでも。




 俺はあいつが好きなんだ。


その気持ちが俺の中にあることはもうとっくに知ってる。

出来れば気付きたくなんかなかったのに。

だが・・・・・・

あいつを俺のモノにするのは悪くない。

ただ・・・・

一筋縄ではいかないだろうな。

簡単じゃないことなんか百も承知だ。

だからこそ、俺はやつを手に入れる。

もうこんなイライラは御免だからな。





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