勝手にしやがれ




『よぉ、黒崎』

『お?なんだよグリムジョー。ウルキオラはどうしたんだ?』


 グリムジョーとはクラスが同じで割りと仲がいい。

コイツと、もう1人ウルキオラも。

でもグリムジョーとウルキオラは恋人同士って仲で・・・・・。

こうしてグリムジョーが1人でいることが珍しい。

いつもは結構ベタベタひっついてんのに。


『それがよぉ・・・・・』

『ん?』


 グリムジョーによると、なんでかウルキオラが怒っているらしい。

自分に思い当たる節がまったくないらしいが・・・・・・・朝から口を聞いてくれないみたいだ。

グリムジョーにもわからないことを俺が解れというほうが無理だと思うが・・・・・

結構参ってるらしい。

ほんと好きだな・・・・ウルキオラのこと。


『お前本気でなにもしてないのか?何もしてないのにウルキオラが怒るわけねぇだろ』

『それがわかんねぇからどうにかしてほしいんじゃねぇか』

『無茶言うな』


 俺だって出来ることなら助けてやりたい。

でも・・・・・・俺はこういう話はどちらかというと得意ではない。

だからどうしろと言われても・・・・・・。


『つーか今ウルキオラどこにいんだよ?』

『しらねぇ』

『そりゃそうか・・・・・・っと、お?戻ってきた・・・・。ぉい!ウルキオラ!!』

『ちょっ!!コラっ!!なに考えてんだ!!!』

『うっせぇ、男のくせにグジグジしてんじゃねぇ』


 焦るグリムジョーを押さえつけてウルキオラを手招きして呼ぶ。

グリムジョーがいるから来てくれないと思っていたが、ウルキオラは意外にもあっさりこっちへ来てくれて・・・・・。

俺はウルキオラの分のイスをその辺から引っ張り出し、そこへ座らせた。


『なんだ?黒崎』

『ん〜?おまえらさぁ、喧嘩してんの?』

『・・・・・そういうことか・・・・・・』


 ウルキオラは呆れたようにため息をつき、隣でしょぼくれているグリムジョーをちらりと見た。

グリムジョーは先ほどからウルキオラのことが見れないのか、顔をあげようとしない。

俺もはぁーっと盛大にため息をつき、ウルキオラとグリムジョーを交互に見る。

2人が口を聞くような雰囲気ではない。

やっぱ俺が間に入んなきゃダメなんだよなぁ・・・・・。

俺はグッと決心してからウルキオラを見る。


『な・・・・なぁ、ウルキオラはなんで怒ってるんだ?』

『・・・・・』


 その問には答えない。

グリムジョーも気になるらしく、ピクッと動いて顔こそ上げないものの、こっちの会話に集中しているのがわかる。

どうしてもコレを答えてもらわねぇと始まらねぇ。


『黙ってても伝わらねぇぜ?言いたいことは言わなきゃだろ』

『・・・・・・昨日・・・・』


 話す気になってくれたらしく、ウルキオラがポツポツと言葉を漏らす。

グリムジョーも先ほどよりは顔を上げていて・・・・。

目だけは相変わらず逸らしたままだが・・・・・。


『・・・・・グリムジョー』

『・・・・っ?!』


 ふいに呼ばれたグリムジョーはビクッと顔を上げる。

何を言われるのかと身構えているのがバレバレだ。

俺は・・・・・修羅場にならないことだけを願って、2人の行動を見守っていた。

なのにふいに・・・・・。


『貴様・・・・・昨日、黒崎のことをなんて呼んだ?』

『・・・・は?!俺か?!?!』

『黒崎・・・・・?・・・・・黒崎としか・・・・』

『嘘をつくな。昨日、お前は黒崎のことを一護≠ニ呼んだ』


 昨日・・・・・・・そういえばグリムジョーに一度一護≠ニ呼ばれた気がする。

とは言ってもだ、グリムジョーがふざけて呼んだだけというか・・・・・俺も黒崎≠謔閾一護≠チつーほうがよく呼ばれてるからそっちのが違和感なくてよかったつーか・・・。

って・・・・まさか・・・・・。

ウルキオラのやつそれに嫉妬して怒ってたのか?!?!

つーか・・・・・原因、俺??


『それで怒ってたのか・・・・・。でもよぉ、黒崎はダチだろ?好きなのはウルだ』

『・・・・・・・』

『もう絶対呼ばねぇよ。ウル以外名前で呼ばない。な?』

『・・・・約束だぞ』

『あぁ』

『・・・・・んだよコレ・・・・・・。あ〜・・・クソっ、勝手にしろ!バカップルがッ』


 くだらねぇ喧嘩に俺を巻き込むなっつの。

でもまぁ・・・・・・

2人が仲直りしてくれっとなぁんか安心すんだけどな・・・・・。

巻き込まれんのは2度とごめんだけどな。


                                                                       end