現世デート〜夏祭り編〜
『今日の夜、空いてっか?』
『・・・?任務は入っていないが・・・・どうした?』
『今日現世で祭りがあるんだってよ。行かねぇか?』
『すごい人だな・・・』
『そりゃ祭りだしよ』
すんなり行くと答えてくれたウルキオラを連れ出し、今日は祭りデート。
夏のイベントには欠かせないものの1つだ。
行く前に市丸のヤローにもらった浴衣。
帯が窮屈だが、まぁ仕方ないかとそこは諦めた。
だが・・・。
ウルキオラの浴衣は正直諦め切れてない。
今着ているのは男物だ。
それで当たり前なのだが・・・・。
市丸が持って来たのは女物。
俺はそれを喜んで受け取ってウルキオラに着せようとしたが・・・・・。
『死ね莫迦が』
の一言で片付けられた上にガツンと1発蹴られた。
市丸にはさすがに手を(足を?)出さなかったが、でっけー目で一睨み。
市丸は『ジョーダンやんかァ』と男物の浴衣を置いていったのだった。
まぁ・・・・男物でも可愛いんだけどよ・・・・・。
横目でチラリと隣を歩くウルキオラを見ると、不覚にも目は項へ。
今日のウルキオラは髪を一まとめにしている。
いつもは髪が覆いかぶさって見ることの出来ない項があらわになっているから。
白く綺麗な項。あぁ・・・・こんなとこじゃなきゃ噛み付いてんのに・・・・・。
そこから少し視線を下げると次に目に入るのは胸元。
普段よりもガバッと開かれたそこから覗く薄い胸。
浮き出た鎖骨が誘っているかのようで・・・・・ムラムラする。
そこで危うく意識が飛びそうになった自分を振り払うようにぶんぶんと頭を振る。
ウルキオラがそれに気付いて『どうした?』と首を傾げてきたが・・・・・・その仕草もなんとも言えないほど可愛い。
紅くなる頬。口元をバッと手で覆い、『なんでもねーよ』とウルキオラから視線を外す。
ウルキオラもさほど気にしていない様子で、歩みを進めた。
歩けば歩くほど、出店のあるところに近づくほどに人が増えてきている。
向かっているところが同じだから仕方がないが・・・・・。
やっとのことで店が出ているところが見えてきて・・・。
明るく賑やかな場所。ソースの匂いや、砂糖の焦げた甘ったるい匂いが漂ってくる。
歩みを進めるのも困難なほど人が溢れてきて、パッとウルキオラに視線をやると、人の波に押されながら賢明に歩いていて。
慣れない足袋を履いているから余計だろう。
見るに見かねて俺はウルキオラの手を取ってグイット引っ張った。
『グリッ??まずいだろう・・・・これは』
見るからに男同士で手を繋いでいるのがヤバイといいたいんだろう。
でも関係ない。
『見てねぇよいちいち他人のことなんて。それにこの人数だ。気付かねぇよ。はぐれる方が面倒だ』
放そうとする手を握りなおし、自分に近づける。
人の波の盾になってやって、ウルキオラが歩きやすいように道を作ってやる。
ウルキオラはこの賑やかさに消え入りそうな声でボソッと『ありがとう』と呟いたが、俺は結構耳がいいからちゃんとその声が届いた。
『腹減ったな、なんか食うか。なに食いたい?』
聞くとウルキオラは辺りを見回し、スッと指をさした。
その方向を見ると、焼きそばの屋台。
ウルキオラの手を引いて、その屋台に近づき、焼きそばを2つ頼む。
食べながら回ろうかと思ったが、この人の中だ。
無理だろうと、その焼きそばの屋台の近くで、買った焼きそばを食べてしまってから行動することにした。
食べてしまって、また手を繋いで歩く。
辛いものを食べた後は甘いものが食べたいというウルキオラに綿菓子を買ってやる。
ウルキオラは初めて見るらしく、割り箸にグルグルと巻きつけられていく白い糸をジーッと見ていた。
それがだんだんと大きくなり、雲のようになって、店の親父から手渡されたときのウルキオラの驚きの顔がすげぇ可愛くて・・・。
その上・・・・
『グリムジョー、すごいなコレは。こんなに大きなものなのに軽いぞ』
『いいから食べてみろよ。美味いから』
めずらしくはしゃいで俺に見せてくるのを、笑いを堪えながら食べるように勧めてやると、ウルキオラはパクッとそれに食いつく。
またしても驚きの声をあげるウルキオラ。
『口の中で溶けたぞ?!』
『砂糖だからなぁ。美味いだろ?』
『あぁ。グリムジョーも食べてみろ』
グイッと口元に綿菓子を持ってくるウルキオラ。
それをパクッと食べると、舌が甘さを感知して・・・・一瞬で溶ける。
下からウルキオラが『どうだ?すごいだろう?』と嬉しそうに見上げてくるのが可愛い。
その後は2人で暑いな、とカキ氷を買って食べて、舌がウルキオラは赤に、俺は青に染まっていることをお互いで笑って。
ベビーカステラを食べたり。
フランクフルトが食べたいというウルキオラに買ってやると嬉しそうに頬張って。
『口の端、ついてんぞ』
ケチャップ・・・・と、ペロっとそれを舐め取ってやると、一瞬で紅くなるウルキオラの顔。
人前でなにをする・・・と怒るウルキオラをなだめて、横からパクッとウルキオラの持っていたフランクフルトを一口かじる。
取ってやった・・・・と口の端を吊り上げて笑って見せると、ウルキオラはムッとした顔をした後、クッと笑って、俺の口元に手を伸ばしてきた。
細い指が口の端をなぞって、その手をウルキオラがペロっと舐める。
『お前も。ついていたぞ?ケチャップ』
『・・・・・・お前もしてんじゃねーか。人前でエロい事』
『直接舐めるヤツよりましだ』
プイッと顔を背けて残りのフランクフルトをたいらげるウルキオラ。
その横顔が愛しくて。
いますぐキスしたかったけどグッと我慢。
それからはゲームの方を周る。
金魚すくいをやって・・・・・ついつい本気になって。
『だぁーーッ逃げんじゃねぇ魚ッ!!』
『グリムジョー・・・もっと静かに』
『あぁーッ!!破れちまった・・・・親父!!もう1本っ』
『にーちゃん、へったくそだなぁ』
『うるせぇ!!ぜってー取る』
躍起になってやるものの、一向に取れず。
紙が破れるばかり。
収集がつかなくなってきたところでウルキオラが無理矢理に止めに入った。
『あぁ〜・・・くそっ。魚め』
『金魚だ。まぁいいじゃないか。1匹もらえたし』
ウルキオラの手には金魚が一匹入った袋。
アレだけやっても1匹も取れなかったグリムジョーを見かねて店の親父が1匹譲ってくれたものだ。
それでもグリムジョーは自分で取ってやりたかったのだ。
ウルキオラに。
少ししょげるグリムジョーにウルキオラはヨーヨー釣りに誘う。
これから相手が逃げないし。
グリムジョーも切り替えて、今度はヨーヨー釣りに挑む。
針に繋がっている紙もすぐに切れてしまうが、先ほどの金魚よりはましだ。
ウルキオラもグリムジョーも真剣になって色取り取りのヨーヨーを釣っている。
2人とも大量につれたため、おまけだと言って1個ずつくれる。
ゴム風船の口のところに結んである輪ゴムに手を通して手首に引っ掛ける。
ウルキオラはそれをヨーヨーのようにはねさせて遊び、グリムジョーに笑いかける。
それに笑い返すと、ふとグリムジョーの目に射的の店が映った。
ウルキオラの手を引き、その屋台へ行く。
『なぁウル。どれとって欲しい?』
『取れるのか・・・?・・・・じゃぁ・・・あのぬいぐるみ』
『舐めんじゃねぇ。見てろよ』
ウルキオラが指をさした白いウサギのぬいぐるみ。
グリムジョーはスーッと意識を集中させて、そのウサギに狙いを定めた。
パンっと言う音とともにコルクが飛び、次の瞬間にはポトッとその白いウサギが地面へと落ちていた。
驚きに目を見開くウルキオラ。
店の若い男がそのウサギを取り、グリムジョーに手渡すと、グリムジョーはウルキオラにポンとそのウサギを渡した。
『金魚はダメだったけどよ、こっちは結構得意なんだぜ?俺』
『・・・・・・ありがとう・・・』
ウルキオラは素直にそのウサギを受け取り、少し頬を染めながら礼を言う。
弾は後4発も残っている。
俺はウルキオラに再びなにが欲しいか聞き、それを狙って引き金を引いた。
『お前にそんな才能があったとはな』
ウルキオラの手には少し大きめの袋。
中には俺がさっき取ってやったぬいぐるみが5つ。
俺はあの後、残り4発全てウルキオラの言うとおりのものを落とした。
つまりミスなし。
『言っただろぉが。舐めんじゃねぇってよ』
『別に舐めてはいないが・・・・』
『・・・・・・なぁ、ちょっとそのへんでしゃべって帰らねぇか?』
『・・・??なんだ急に』
『いや・・・・このまま帰んのももったいねぇ気がしてよ・・・』
『別に構わんが・・・・』
祭りも終わりに近づいてきて人もまばらになってきた。
それでも手が放せずに繋ぎっぱなしにしていたが、ウルキオラも特になにを言うことなく、繋いだままでいてくれた。
このまま帰ってしまうのが少し寂しい気がして。
近くにあった川沿いにウルキオラを誘う。
先ほどまで賑やかなところにいたせいか、余計に静かに感じて・・・・。
誰もいない、一通りもない川沿いに2人、腰を下ろした。
無言でただジッと川を眺める。
風がサッと草を揺らし、その草ずれの音がやけに綺麗で・・・・。
『なにか物悲しいものだな。騒いだ後というものは』
『あぁ・・・・』
『・・・・今日は楽しかった。つれてきてくれてありがとう』
『なっ・・・んだよ・・・・改まって』
『気分だ』
『・・・・・可愛いこと言ってんじゃねぇよ』
隣に座るウルキオラの唇にそれを重ねる。
少し甘い、その唇に少し長めに口付けた後、ゆっくりと放していく。
真っ暗で顔も見えないこの空間。
これだけ近づけばさすがに少しは見える。
我慢していたものが弾ける音がした。
さすがに抵抗するか・・・・?と確かめるように何度も口付けた後、首筋に唇を滑らせていく。
ウルキオラの表情を見ながらゆっくりと進めていくが・・・・・抵抗するそぶりは見せない。
むしろ結構ノっているようで・・・・。
こんな外で・・・いいのか?と思いつつ、少し怖くなった俺はジッとウルキオラを見つめた後、耳元で低く囁く。
『いいのか?』
それにビクッと俺の胸元をギュッと握り締めるウルキオラ。
顔を覗き込むと、恨めし気に俺を見ていて・・・・・。
ふいっと目をそらされる。
つまり・・・・さっさとしろ莫迦≠ニいうことだ。
俺はニヤリと口元をゆがめて、ウルキオラの耳や首筋に何度もキスを送る。
体を撫でてやりながら、もとからあらわになっている胸元に手を這わせる。
そこから浴衣の胸元を開いて、白い肌にチュッと口付ける。
帯は解くとややこしいからそのままで。
『浴衣っていいな。簡単に脱がせるな』
『五月蝿いっ・・・・んっ・・・』
胸の突起に舌を這わせ、ちゅっと吸ってやるとビクンと体を震わせる。
そうしながら、前の合わせを開いて、スッと足を撫でると、そこもビクビクと反応した。
煽られっぱなしだったため、俺は我慢出来ずに、下着に手を滑らせて脱がせる。
感じているウルキオラも反応していて、容赦なく擦りあげた後、俺は早くも後ろに手を滑らせる。
そこは少し時間をかけて慣らした後、俺はグッとウルキオラを引っ張り起こした。
『草の上だからって痛いだろ。上乗れよ』
『んっく・・・・はっ・・・・』
膝の上に乗せて、ウルキオラの腰を支え誘導する。
ゆっくりとウルキオラの中へと納めていくと、ウルキオラから甘い声が上がる。
苦痛もないようで、それに少し安心しながら腰を揺らすと、ぎゅうっとウルキオラがしがみ付いてきて。
『ぁ・・・っ・・・・んぁっ・・・・・グリっ・・・』
『可愛い・・・・ウル・・・・・』
蕩けそうな声を上げているウルキオラにグリムジョーは優しく口付ける。
誰もいない2人だけの空間で、その2つの影が揺れていた。
『疲れたかぁ?』
『少しな』
俺の膝の間で俺にもたれて座るウルキオラ。
後ろからぎゅっと包み込むように抱きしめてやって。
腹の前で人形でも抱くように手を組んで。
頬にキスしてやると、首を逸らせて見上げてくるから、その唇にも軽くキス。
『浴衣ってすげぇな。どっからでも手が入る』
『やめろ・・・・・くすぐったい』
ウルキオラの浴衣の袖のところから手を入れて肌を探る。
パシッと叩かれたが、なにか今日のウルキオラは・・・・・・優しい。
優しいというか・・・ある程度のことは許してくれている。
祭りにつれてきたこととなにか関係があるんだろうか?機嫌がいい。
よほど楽しかったらしい。
楽しんでくれたならつれてきてよかった。
こんな甘い時間ですらも愛おしくなるほど・・・・・・。
余計に帰りたくなくなってしまった。
どうするか・・・・と考えながら、まだしばらくはいいか・・・・とすっぽりとウルキオラの小さな体を抱きしめた。
end