散る花




 生まれて始めて見た・・・・・・・


夜空に散る花。

高々とあがったそれは、咲いた瞬間散る。

すぐに散っては、

また咲く。



 じわじわと暑い空気。

空全体に響き渡る音。

風に乗ってくる火薬の匂い。





花火



火の花。



よく考えたものだ。





『すごいものだな』




 いろいろな意味を込めて呟く。





『ぁ?なんか言ったか?!聞こぇねぇ!声張れよ』



 そうグリムジョーが叫びに近い声で言う。

声を張れと言われても・・・・・・

そんな大声を出す気にはなれない。

かわりに・・・・・・・

グリムジョーに近寄って、耳に唇を近付ける。

だが・・・・・・

呟いたのはさっきとは違う言葉。







『好きだ……』





 自分でもなぜそんなことを言ったのかはわからない。

この空気に呑まれただけだ。

無性に言いたくなった。

ただそれだけで。



 ついでに頬にキスも一つ。

驚いたようなグリムジョーの顔が可愛かった。

その後すぐグリムジョーは、ニヤリと笑って。

俺の耳に唇を寄せて、




『じゃぁ俺は愛してる』




恥ずかしげもなく口にして、唇にキスを残していった。





 空高く上がる花が

連続で上がり、




散って逝く。




 いつしか音が止んで・・・・・・

辺りは静けさを取り戻した。



 ココに2人だけしかいないようだ・・・・・と。

口に出す訳じゃないがきっと同じことを思ってる。



 散る花が美しいと。

それが儚げで寂しい。

それでも・・・・・・・


それを埋めるように、隣りにグリムジョーがいてくれるなら。

ただそれだけで十分。




幸せの花。






                                                                 end