手のひら合わせて
隣りで規則正しい寝息を立てながら眠るグリムジョー。
朝の日差しに邪魔をされて目を覚ましたウルキオラは恨みがましく気持ち良さそうに眠るグリムジョーを眺めていた。
そう。
始めは確かに恨んで見ていたはず。
それがいつしか自分の顔が少なからず緩んでいたことにハッとする。
グリムジョーの寝顔を見ながら・・・・・・・・
自分はこんなに早く起きてしまったのに。
悔しい。
起きろバカ。
可愛い・・・・・・。
愛しい・・・・・・。
愛しい・・・・・・
なぜか胸の奥が暖かい。
吸い込まれるように手を伸ばし、グリムジョーの頬にそっと触れる。
一瞬グリムジョーがムッと眉を寄せた。
起きたかと思ったがそうではなく。
またすぐに寝息が聞こえる。
それが少しおもしろくない。
更に手を伸ばし、髪に触れる。
いつもはアップしている髪も今は降りていて前髪が顔にかかっている。
『グリムジョー・・・・・・・』
静かに呟いても当然返事はなく。
苦笑しながら投げ出された手のひらに自分のそれを重ねてみる。
厚くて大きな手のひら。
自分のものより一回り以上大きい。
見慣れている。
触れ慣れているその手のひら。
ただ違うのは・・・・・
動かないということ。
いつもならこの手がフラフラと俺の全てを這い回り、この手が俺にたくさんのものを与える。
今は俺がこの手のひらに全てを与える。
いつもとは違うくすぐったさ。
なにをしても起きないだろうと諦め、手を離そうとすると・・・・・・
『っ・・・・・・!?』
『なに遊んでんだよ、ウルキオラ』
『起きていたのか・・・・・?』
『お前が手のひら合わせる少し前ぐらいからな』
ニヤニヤと笑うグリムジョー。
手を離そうとした瞬間手を引かれて、グリムジョーの上に倒される。
起き上がろうにもガッチリと腰の辺りを固定されていて起き上がれない。
『やけに早いじゃねぇか。どした?』
『離せ』
会話の成立たない会話。
グリムジョーはさほど気にすることもなく、だからと言ってウルキオラの言うことも聞かない。
『お前がベタベタ触ってたくせに今度は離せかよ』
『・・・・・・・・』
事実なので言い返せないが、些細な抵抗としてグリムジョーの体を押す。
当然ビクともしないのだが。
『ウルキオラ・・・・・・手貸せ』
『なっ・・・・・んだっ・・・・・・』
グリムジョーの胸を押していた手が取られ、俺がしていたように手が重ねられる。
ギュッと握られた手が心地よくて・・・・・・・。
『なにをする・・・・・・』
『あったけぇだろ?』
『バカが』
ギュッと手を握り返し、ポスっとグリムジョーに体を預けた。
end