ぽかぽか
『グリムジョー・・・・・・』
『ぁ?なんだよウル』
『ちょっとこっちに来い』
ソファに座り、雑誌をめくるグリムジョーをこちらへ呼び寄せる。
俺が行けばいいのだが・・・・・そういう訳にはいかない。
それには理由があって・・・。
グリムジョーもお前が来ればいいだろう・・・≠ネどとごちゃごちゃ文句を言っていたが、俺がいいから来い≠ニ睨むと、渋々と言った感じで立ち上がり、俺の方へと向かって歩いてきた。
俺が座っているのは・・・・・床の上。
『なんでわざわざンなとこに呼ぶんだよ。ソファ座ればいいだろうが。冷えんだろーが』
『グリムジョー・・・・・』
『・・・・なんだよ・・・』
『ココに、頭を乗せろ』
『なっ・・・・』
ココ・・・・と言って膝を指差す。
グリムジョーは俺の指の先にある膝をじっと見つめながら口をパクパクとしている。
いつまでたっても俺の言うとおりにしようとしないグリムジョーに焦れた俺は、グリムジョーの腕を引っ張った。
ふいをつかれたグリムジョーは当然倒れこんで・・・・・・。
『ってーなウル!!なにしやがる!!』
『お前が遅いからだ、グリムジョー』
『そ・・・そりゃテメーが訳のわからないことを言うからだろーが・・・・』
『わからないことなど言っていないだろう?ココに頭を乗せればいいだけだ』
『だから、なんなんだよ?!』
『いいから乗せろ』
『うっ・・・・・』
グリムジョーが言い返せないほど強く言い放つ。
するとグリムジョーは何かいいたそうにしながらも、ゆっくりと俺の膝の上に頭を乗っけてきた。
・・・・・仰向けに。
『違う。横を向け莫迦が』
『ぁ?!痛ってッ!!テメー!!無理矢理向かしてんじゃねぇよ!!』
『煩い・・・・黙っていないと突くぞ・・・・』
『なに・・・・を・・・・・?』
『じっとしてろ』
『なっ・・・・・・・・・・はぁ??』
俺が取り出したのは綿棒。
そう。
俺はグリムジョーに耳かきをしてやるつもりだったんだ。
耳をくすぐるそれに、大人しくなるグリムジョー。
『耳かきするなら・・・・・するって言えばいいじゃねぇかよ・・・』
『どうでもいいだろう、そんなこと』
『よくねー・・・・・・』
『気の抜けた声を出すな』
『仕方ねぇだろー・・・・気持ちいいんだからよぉー・・・・』
次第に目をうとうととさせるグリムジョー。
そういうときに動かしてやるのは可哀想かとも思ったが・・・・・反対の耳を掃除したい。
仕方なくグリムジョーに声を掛け、逆を向いてもらう。
グリムジョーの顔が俺の腹の方を向いて・・・・
微かに暖かいと息が掛かっているような気がする。
・・・・・くすぐったい。
『ほら、終わったぞ』
『もぉ終わりかよ・・・・』
『これ以上やっても何も出てこないぞ。出ても血ぐらいだろうな』
『・・・・・まぁ・・・このままでも十分気持ちいいけどな』
ぺたぺたと俺の足を撫でながらニヤニヤとするグリムジョー。
しかしどこかふわふわしているような・・・・・眠そうだ。
俺は自然と手をグリムジョーの髪へと運ぶ。
生え方にそうように撫でて、指を髪に絡ませると、手触りのいい感触がした。
グリムジョーはまた仰向けになり、俺の手を取って・・・・・自分の指を絡めさせて俺をじっと見上げた。
青の瞳に見つめられて・・・・・・絡まる指の感触が心地良くて・・・・・
動けない。
『ウル・・・・・』
『・・・・・・』
『またやれよ・・・・・・・耳掃除』
『・・・・・・・やって欲しいときに言えば・・・・そのくらいはしてやる』
『じゃぁ膝枕は毎日やれよ』
『却下だ。足が痺れる』
『なんだよそれ』
ほんとは・・・・・下からじっと見つめられるこの状況が恥ずかしくて死にそうなだけなのだということは・・・・・
グリムジョーには黙っておこう。
end