サブマリン




 藍染様から呼び出されていた俺は、グリムジョーが待つやつの部屋へと急いでいた。

出てくるときも仕方がないだろう≠ニ言い聞かせて、やっとのことで引き剥がして出てきたのだから。

少しでも早く帰って、グリムジョーの機嫌取りをしてやらなくては・・・・・・。

そう思っていたのだけれど・・・・。




『ただいま。・・・・・・・っ!!』

『よぉウルキオラ、待ってたぜぇ』






 ドアを開けた瞬間に・・・・・満面の笑みを浮かべたグリムジョーが目の前に立った。

ソニードを使ったのだろうが・・・・・。

絶対に不機嫌だと思っていたその表情は、それとはかけ離れているほどで・・・・。

それより・・・・帰って来た瞬間から、なぜかガッチリと手首を持たれて固定されて・・・・・。

グリムジョーは自分の方に俺を引き寄せながら開きっぱなしの俺の後ろのドアを閉めた。

カチッと音がした気がするが・・・・聞かなかったことに・・・・・。






『よっし・・・・ウルも帰ってきたことだし、さっそく・・・・』

『っ・・・・!!!!なにをする!!降ろせグリムジョー!!』




 急に宙に浮く体。

視界がグルっと回転して、抱えあげられたことがわかったときにはすでに遅く、グリムジョーは俺を抱えあげたままバタバタと部屋の奥に走っていく。

向かった先は・・・・






『嫌だ・・・・・』

『いいからさっさと脱げよ』

『絶対に嫌だ・・・・』

『なんでだ?』

『・・・・・・・お前と風呂になんぞ入ったらただでは出てこれんだろうが』

『なんにもしねぇよ』

『いつもそう言って護った試しがない』

『今日はマジだって。だから・・・・脱げ!!』

『あ・・・コラッ脱がすな莫迦が!!!!』




 連れて来られたのは風呂場。

グリムジョーは俺を脱衣所に降ろして、自分はいそいそと脱ぎ始めた。

あっと言う間に裸だったが・・・・。

その間に逃げようとも思ったがグリムジョーがそう簡単に逃がしてくれる訳もなく。

 グリムジョーと風呂に入ると、必ず・・・・・そういうことになるから嫌なんだ。

のぼせてしまうし・・・・明るいし声も響くしでココは一番最悪な場所だ。

いつもいつも絶対しない≠ニ言っておいて約束を破る。

それでも強く断れないのは・・・・・どこかでまだグリムジョーを信用したいからだろうか??

それとも・・・・・今回はやけに強引だたからだろうか?

服も簡単に脱がされてしまって・・・・・。

着るのも面倒になった俺は・・・・・・諦めと覚悟を胸に、グリムジョーと一緒に風呂の中に足を踏み入れた。






『この匂いは・・・・・・』

『ん?気付いたか??』




 風呂の中に微かに香るいつもと違う香り。

シャンプーじゃなくて・・・・・・

と、その時、グリムジョーが浴槽の蓋を開けた。

微かに香っていたさっきの香りが、急に濃くなる。

中を覗くと・・・・・

グリムジョーの髪の色に良く似た色のお湯が張られていて。




『これ・・・・・・』

『おっ・・・・いい湯加減。ウル・・・・・こっち来い』

『えっ・・・・・ぁ・・・・』




 グイッと腕を引かれて・・・・・

先に浴槽に入ったグリムジョーに抱きかかえられて、浴槽に浸からされる。

後ろから抱き締めるような形で・・・・・。

回される腕。

肩に掛かる息・・・・・・。

全てがくすぐったい。





『サブマリン・・・・・・』

『・・・・・・??』

『この入浴剤の名前だ。この匂いが気に入ったから、・・・・・ウルとこうやって入りてぇって思ったんだよ』

『グリムジョー・・・・・・』

『こっち見んじゃねぇよ・・・・・』




 顎を反らせグリムジョーを見上げると、口元を手で覆って、グリムジョーが視線を逸らす。

めずらしく・・・・紅くなって照れていた。

蒸気で下りた髪が・・・・可愛くて。

俺は大人しく前を向いて、グリムジョーにもたれるようにして体を預けた。

硬い胸板と腹に背中が当たる。




『いい香りだな・・・・・』

『だろ?』




 さわやかな・・・・・スッとする匂い。

どこか海を想像させるそれは、なにか大きなものに包まれているようで・・・・・

少し安心するような・・・・・・匂い。

入浴剤の効果からか、体の芯から温まるようで。




『入浴剤が気に入って、ウルと入りたいって思ったのも事実だけどよ・・・・・』

『なんだ??』

『たまにはこうやって・・・・・・・ウルを抱き締めてゆっくりしたかったんだよ』

『・・・・・・そうか・・・・・』




 ぎゅうっと抱き締められて・・・・・幸せで。

肌の上を滑っていく大きな手とか、

首元に顔を埋めている仕草とか、

こんなふうにしたいと考えてくれた気持ちとか。

とてもくすぐったくて・・・・愛おしい。










『それはいいがグリムジョー・・・・・・なにか硬いものが当たるのだが・・・・・・気のせいか?』

『・・・・・・・・・・・』

『言葉と体が一致していないが・・・・・・??』

『あーーーーーーーー・・・・・・・・上がってからよろしく』

『知るか莫迦が』








 だってよぉ・・・・・

上気してちょっと紅くなってるうなじとか・・・・・

すり寄ってくる背中とか・・・・

肩越しに見える白い足とか太腿とか・・・・

浮き出た鎖骨とか、ちょっと尖った乳首とか・・・・

たまんねぇし。

首んとこからするウルキオラの匂いとか最高だし・・・。

なにより吐息が色っぽい。

こんなんで勃たねぇ方がおかしいって・・・・・。

                                      by グリムジョー








                                                              end