満たされる感情、奪いたい欲望




『綱吉・・・・・・』

『わ・・・・っ・・・・・・ひっ・・・・ばりさっ・・・・・待っ・・・・』



 部屋に入ってくるなり早々、俺を押し倒した雲雀さんは容赦なく俺の駆使びるを塞いで、深く息も出来ないほどのキスをしてきた。

どうやってこの部屋に入ったのとか、そんなことはもう今更驚かない。

そんなのしょっちゅうだし。

雲雀さんだと思うとそれも納得出来るし。

だからそんなことはもうどうでもいいんだけど・・・・。

なんで入ってきて早々に俺は押し倒されてるんでしょうか??

覆いかぶさってくる雲雀さんの胸を必死に押すけれど、相手はなんたってあの風紀委員長。

しかも風紀委員長なのに、なぜか不良の頂点に君臨してるっていう・・・・・すごい人。

いくらリボーンに鍛えられたからって言っても素の俺はまだまだ貧弱で、到底雲雀さんには敵うはずもなく。



『雲雀・・・・さんっ・・・・・ゃ・・・・・っ』

『綱吉・・・・・なんでそんなに嫌がるの?』



 怖い・・・・・・。

だって俺は男で・・・・・。

それでも雲雀さんを好きになった。

でも・・・・・・今からするであろう行為をまだ受け入れられない。

雲雀さんが好き。

でも・・・・・・怖いよ。

 サラサラと撫でられる髪。

ぎゅっと目を瞑ると首筋をちゅっと吸われて、少し痛い。

いつの間にか体を這い始めた手は、俺の服の中に入っていて・・・・・・スルスルと体を撫で回している。

体温の低い雲雀さんの手が中で動き回るたびにビクビクとして。



『ゃ・・・・・だぁ・・・・・ひ・・・・り・・・さっ・・・・・ぁ・・・・』

『安心しなよ。ちゃんと気持ちよくしてあげる。怖いことなんてなにもないよ?』

『ふっ・・・・・ぁ・・・・・』

『綱吉、こっち見て・・・・・・』



 顔を手で覆ったままフルフルと首を振ると、雲雀さんはその手を無理矢理に解こうとはしなかった。

でも、服の中をまさぐる手は止めてくれなくて。

その時、ふいにジーっとチャックの独特な音が耳に届く。

バッと雲雀さんを見ると、俺のタンクトップについているファスナーを、口で下ろしているところで。

俺は今日自分がこんな服を着ていたことを呪った。

そのファスナーを全て下ろされると、前が肌蹴て上半身裸も同然になってしまう。

阻止しようと手を伸ばしてみたものの、そんなこと雲雀さんがさせるはずなく、あっけなくファスナーが全て下ろされてしまう。

逆にその伸ばした手を雲雀さんに取られてしまって、手の甲にちゅっとキスをされてしまった。



『綺麗な体だね。細い・・・・・ちゃんと食べてる?』

『・・・・・み・・・・・なぃ・・・・・で・・・・・くださ・・・・』

『なんで?もっと見せてよ』



 チュッと鎖骨にキスをされて、軽く噛まれて。

雲雀さんの唇はそのまま下へと下りていく。

胸の突起を舌でつついて、形のいい唇がそれを挟む。

そんなところ、意識して触ったこともないのに、舐められて吸われておかしくなりそう。

知らない感覚に涙が浮かんでくる。

雲雀さんはじっくりとそこを舐めてから、また下へと辿っていく。

へその窪んでるところをグリグリと舌でえぐる様に舐められると、むず痒くて・・・・・。



『んっ・・・・・も・・・ゃ・・・・・っ』

『感じやすいんだね、綱吉は』

『ちがっ・・・・・も・・・・・ほんとにやめてくださ・・・・っ』



 舌は体を這い回って、何度も何度も往復する。

へそまでいったらまた上へ。

胸の紅をくすぐっては鎖骨へ。

そして下っていく。

時々吸い付かれたり噛まれたり。

その時、カチャッ・・・・とベルトの音がして。

ビクッと下を向いたら雲雀さんが片手でベルトを器用に外しているところで。

さすがに怖くなって足をバタバタさせる。

でも雲雀さんはまったく動じず、緩んだウェストからごそっと手を入れてしまった。

パンツ越しに撫でられた瞬間、ビクッと体が反応したのと、一気に強まった恐怖感。



『ぃやぁッ・・・・・雲雀さんッ・・・・ダメっ・・・・ほんとに、ゃ・・・・めてくださ・・・・・ぃ・・・・・・・ヒクッ・・・・・・グスっ・・・』

『綱吉・・・・??』



 頭をぶんぶんと振って泣き出した俺に、さすがの雲雀さんも驚いたように俺を見た。

手も中から抜いてくれて、雲雀さんは俺を引っ張り起こした。

ぎゅっと抱きしめられて、でも俺は泣きやめなくて、近くにある温もりにただしがみ付いていた。



『綱吉、もうしないよ。泣かないで。悪かったね』

『ふ・・・・・くっ・・・・・』



 耳元で雲雀さんがゆっくりと俺に話しかける。

よしよしと髪を撫でられると、俺も落ち着きを取り戻せて・・・・・。

雲雀さんは徐々に泣き止んでいく俺の体を離すと、紅くなっている目元にそっと口付けてきた。

目に溜まる涙を吸い取るような優しいキス。

ジッと至近距離で見つめられて・・・・・・唇にもキス。

そのキスを素直に受け止めて、俺も雲雀さんを見る。



『ぁ・・・の・・・・・ごめんなさい。俺・・・・・怖くて・・・・』

『別にいいよ。僕も焦っちゃったし。綱吉はまだ・・・・・コレで十分なんでしょ?』

『え・・・?ン・・・・っ』



 優しく微笑まれたかと思ったらまたキス。

そしてぎゅっと抱きしめられる。

 キスと、抱きしめられるのは好き。

すごく安心できるから。暖かいから。

こんなのまだまだ子供だっていわれるかもしれないけど・・・・・・。

雲雀さんがしたいと思ってること、怖いって思うけどそれだけじゃないんだ。

恥ずかしいっていうのがまだあって。

キスだけで蕩けそうなのに、それ以上のことなんてしたらどうなるか想像もできない。

そんな自分をさらけ出すのが恥ずかしくて怖い。

だから・・・・・・。



『もう少し・・・・・・・・もう少しだけ、待っててください。心の準備が出来るまで・・・・・・』

『待つのはキライだけど・・・・・綱吉のためなら待つのもいいね。早くしてね?』

『そっ・・・・んな・・・・・』

『冗談だよ。ちゃんと待ってるから。綱吉から求めてくれるのを』

『ぅ・・・・・・』



 真っ赤になる俺に、雲雀さんは俺が大好きなキスをしてくれた。

もう少し・・・・・・・

もう少しだけ・・・・・・・・





                                                                      end