Chu−Chu−Chu




『なぁトガ〜どぅ思うよアレ』
『アレ?アレってなんだ?』
『なんだじゃねぇよ。十文字と悪魔に決まってんだろ?』
『あぁ〜・・・。悪魔に取られて悔しいのか?』
『はぁぁぁ??ちげぇよ!!どうやったらあんな悪魔と付き合えんのかって話だ』
『まぁ確かに。でもまぁ・・・いいんじゃねぇか?』
『なぁんかアイツ幸せそうだもんなぁ』


『なぁ〜ヒル魔ぁ〜』
 部活終了後。部室に残っているのは2人。 みんな着替えてさっさと帰っちまった。んで今俺が呼んだヒル魔はいつもの通り最後まで残ってる・・・ってことで、俺も残る。なのに・・・・
『なぁって。ヒル魔ぁ〜』
『・・・・・』
 呼んでも返事しやがらねぇ・・・。ずーーーーーーーーっとパソコンとにらめっこだ。 可愛い恋人が呼んでんのに無視ってのはどういうことだ??俺が無視したらすぐ怒るくせに・・・・・・。
ヒル魔のまん前に座り、じーーっとヒル魔を見ても目線1つこっちに向けねぇ。動いてんのは長くてキレイな指だけ。あっ・・・さすがに瞬きもするか。俺が呼んでんのも見てんのもコイツはちゃんと解ってるはずなのに・・・・・・さすがにココまで無視されたら俺だって腹立つぞ・・・・・・。
『なにむくれてやがる・・・』
 いい加減ヒル魔を見るのも嫌になって下を向くとヒル魔がやっと答えてくれる。バッと顔を上げヒル魔を見てもやっぱり目線はパソコンだったけど・・・・・。それでも無視より全然いい。
『だってヒル魔さっきから全部無視だったじゃねぇか・・・』
『糞長男はちょっとの間も我慢できねぇのか?』
 そんな嫌味を言った瞬間やっと目線をこっちに向けてくれる。そんな 嫌味言うときだけ見られても・・・・・・。
『長男じゃねぇって!!』
『じゃぁ〜・・・・一輝』
『んなッ・・・!?///』
 俺を見てニヤっと笑うと、膝の上のパソコンを閉じ、スッと席を立つ。急に動き出したヒル魔にビックリしつつもどこに行くのかと思って目で追うと・・・・・俺の後ろ。後ろ取られたらなにされるかわかんねぇからとりあえず急いでヒル魔の方を向く。さっきまで完璧無視だったくせに今度は人の目をじーっと見てくる。無表情で怖ぇし・・・。 俺も蛇に睨まれた蛙状態で視線剥がせねぇし・・・。
そのままヒル魔が近づいてきても動けなかった。気付いたらすっげー至近距離で頬っぺたに手とか添えられてるし・・・。
そこまで来てやっとヒル魔がいつもみたく口の端を吊り上げて笑う。
『いくらなんでも無防備すぎだろ・・・一輝・・・』
 また名前・・・ッ///今まで名前なんか呼んだことないくせに・・・。なんで急に名前なんだよ!?
『ぇ・・・ぁの・・・ヒル魔??んんッ!?』
 俺が名前呼ばれて戸惑っているすきにキスされる。ヒル魔は立ってるのに対し俺は座っているから、上から押さえつけられてる分逃げられない。 そのうち苦しくなって酸素を求めて口を開いたら待ってましたとばかりに舌が入ってきて、絡め取られた。始めは抵抗してたんだけどだんだん体に力が入らなくなってきてされるがままになっていた。
『んッ・・・・・はぁ・・・・』
 散々舐めまわされやっと唇が離される。俺はそのまま体を支えていられなくて、ヒル魔の胸にポスッと倒れこんだ。
『ケケッ・・・アレぐらいで腰に来たか?』
『う・・・るせ・・・急に・・・すんな・・・』
 まだ整わない荒い息をなんとか整えながら文句を言う。ほんとはもっと言いたいことあるのに力入らなさすぎてしゃべることもできない。
『そんなに良かったか?もっとするか?』
『な・・・ッ///もぅいいって!!』
『遠慮すんな』
『ぅわッ・・・』
 とっさに目を瞑って下を向いた。でも俺が想像してたような感触は来なくて・・・代わりにおでこに柔らかな感触がする。びっくりして目を開けるといたずらが成功した子供のように(実際はもっと邪悪な顔だったりするが十文字ビジョンでは・・・)笑うヒル魔がいた。
『なにビビッてやがる?』
『・・・・・・・・ムカつく・・・・』
『なんだ?まだたりねぇか??』
『言ってねぇし!』
 そのまままたヒル魔の顔が近づいてくる。今度は俺も目を開けたまま。でもてっきり唇に来ると思っていたのにヒル魔はそのまま俺の首に噛み付いてきた。っていってもそんな強く噛んでるわけじゃないから痛いとかはないけど。
『ヒル魔!?くすぐってぇって!!なにしてんだよ?ん・・・っ・・・舐めんなって!』
 ヒル魔は俺の言葉なんかはなから無視で首筋を舌でなぞっていく。そうされるとくすぐったいとはちょっと違うゾクゾクとした感覚が体を走る。体がピクッと反応した。たぶんヒル魔にもバレた。顔が真っ赤になっていくのが自分でもわかる。その時、首筋に舌を這わせていたヒル魔がそこにチュッと吸い付いた。
『ひッヒル魔!!やめッ・・・っ!』
 服とか引っ張ってみるけど痛いぐらいに吸い付いてきて、そこが終わると少し下の鎖骨の上辺りにも吸い付き痕を残した。そしてついでとばかりに鎖骨に軽く噛み付いてからパッと顔を上げ、涙目になっている俺の目じり、ほっぺた、唇と軽いキスを落としていった。
『なんなんだよ!今日変だぞ?!無視するし・・・かと思いきや名前・・・呼ぶし・・・こんなことばっかするし・・・』
『なんだぁ?嫌なのか?俺はむくれた可哀想な十文字くんを慰めてたんだけどなぁ〜』
『なんだよそれ・・・・・・ってか無視してむくれさしたのあんたじゃねぇか!!』
『だから責任とってやったんじゃねぇか』
 ・・・・・・なんか最初からコイツに乗せられたって感じだな・・・。これ以上言い合いしたって勝ち目ねぇし・・・。つーか・・・・・・なんだかんだ文句いいつつヒル魔とのキスとかこんな風にいちゃいちゃすんの好きなんだよなぁ・・・俺。たぶんヒル魔も解ってるんだろうな。
『なぁヒル魔・・・』
『なんだ?』
『ヒル魔のことすっげー好き』
 あっ・・・ヒル魔が今一瞬目見開いた。そりゃぁ急にだもんな。
でもさ、好きでなきゃこんな悪魔と付き合えねぇって!ってかヒル魔って実はただの悪魔じゃねぇし。人一倍優しい悪魔なんだよな!関わってみなきゃわかんねぇけど。
アメフトの試合の相手高には悪魔。アメフトの練習中もちょっと悪魔。でも・・・・・・1人1人の体調とかちゃんと把握してて、ほんとに危なくねぇギリギリのとこを計算して練習メニュー出してるし、出来たとこはちゃんと褒めて認めてくれてるし。2人のときは悪魔じゃねぇんだよな・・・。みんなの前では平等だけど。でもそこがいいって言うか・・・。そういうとこに惚れたんだけど・・・。
『急に素直になってどうした?』
『なんでもねぇよ。思っただけvV』
 ヒル魔の腰に抱きつくと、優しく髪を撫でてくれた。そしてもぅ一度優しいキスを落としてくれた。


 次の日。
『なぁトガぁ・・・』
『なんだよ?今いいとこなんだ!!(漫画)』
『俺さっき見ちまったんだけどよぉ〜・・・十文字の首んとこに・・・』
『ん?なんだ?』
『蚊に刺されたみたいな痕があったんだけど・・・』
『今の時期に蚊はいないだろうな』
『やっぱそうだよな・・・?それになんか十文字ふわふわしてるし・・・昨日あれからやっぱ・・・』
『ヤッたな』
『やっぱそぉなんだろうなぁ・・・』

 ヒル魔と十文字がヤッたのかどうか・・・真相が知りたい方はこの下を反転してみてください・・・。
『ヒル魔ぁ〜今日ヒル魔ん家行って良い?』
『別にかまわねぇがどうした?』
『アメフトのビデオ見てぇ!!』
『おっ。そぉいや俺も撮るだけとって見てねぇのがたまってんだ』
『じゃぁそれ見に行く!』
 結局2人は帰宅後アメフトビデオ鑑賞。十文字がふわふわしてる訳は徹夜でビデオ見てそのまま朝練来たからなのでした。
黒木&戸叶はずれ。

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