☆泡沫鳳W様から頂きました!!☆


グリウル小説






夢という名の不安のカタチ




気が付くと、ウルキオラは一人暗闇の中に立っていた。

周囲を見渡しても、明かりはひとつもない。



完全な闇




ふと、背後に気配を感じた。

振り返ると、そこにはグリムジョーが立っていた。悲しげな笑みを浮かべてウルキオラを見ている。


「……っ」


「グリムジョー」と名前を呼ぼうとしたが、何故か声が出ない。

何度声を出そうとしても、何度グリムジョーの名前を言っても、音になって出ることはなかった。

ふいに、片方の頬にグリムジョーの掌が触れた。


「?」


グリムジョーの様子がおかしい。

相手の意図が解らず、ウルキオラは訝しげにグリムジョーを見上げた。

しばらくウルキオラをいとおしむように見つめていたグリムジョーだが、唐突に口が開いた。


「じゃあな…」




目を細め、ウルキオラの頬に触れていた手を下ろして、ふいと背を向けて歩き出す。


(グリムジョー…?おい、グリムジョーっ!)




呼び止めようとしても、声が出ない。

堪らずウルキオラは駆け出そうとしたが、まるで見えない何かに搦めとられたかのように身体が動かない。


(待て…どこに行く…っ、グリムジョー!)


声が出なくとも、ウルキオラは必死にグリムジョーの名を呼ぶ。だが、グリムジョーは立ち止まることなく、振り向くことなく先へ先へと進んでゆく。


(…行くな、行くなグリムジョー…!俺を…俺を置いて行くなっ!)




得体の知れない焦燥感が、ウルキオラを急き立てる。このままグリムジョーが永遠に帰って来ないような気がした。

離れていくグリムジョーを、闇が覆う。その姿がだんだん遠くなって、見えなくなって…




「っ…くな…、グリムジョー!!」








◇           ◇           ◇




はっとウルキオラは目を開けた。

目に映るのは見慣れた天井。がばりと跳ね起きて周りを見渡したが、そこは紛れもなく自分の部屋だ。


「…あ……」


声も出る。身体も動く。

しばらく呆然としていたが、我に返るなりウルキオラはベッドから飛び降り扉を開けて外へと駆け出した。

どくどくと鼓動が激しく全身を駆け回る。




早く…早く…っ







バンッと勢いよく扉が開く音にグリムジョーは目を覚まし、上半身を起こした。

次いで襲ってきた衝撃に目を剥く。


「おわっ、なんだなんだ…って、ウルキオラ?」


見ると、ウルキオラが己の胸にぎゅっとしがみついていた。

突然の出来事にグリムジョーは驚きが隠せない。取り敢えず、しがみついているウルキオラの背に手を回し、優しく撫でてやる。


「う、ウルキオラ?どうしたんだよ一体…」


背にグリムジョーの腕を感じ、ウルキオラは肺が空になるまで息を吐き出した。

安堵がどっと押し寄せる。







しばらくして落ち着いたのか、グリムジョーをきつく抱きしめていたウルキオラの腕の力が和らいだ。


「何かあったのか?ウルキオラ」


優しく言ってやると、ウルキオラはそのままの体勢で口を開いた。


「…夢…」

「夢?」


こくりと頷いて、ウルキオラは続ける。


「…夢を…見た。暗闇で、グリムジョーが…俺の前、から…いなくなる…夢…」


途切れ途切れに呟くウルキオラの声音は、弱々しく、震えていた。


「そうか…」


ウルキオラの背を、頭を、何度も撫でる。


「気にするんじゃねえよ、俺は今ここにいるだろ?」

「……」

「ただの夢だ。俺はお前の前からいなくなったりしねぇ。絶対だ、誓ってもいいぜ」


その時ようやくウルキオラが顔を上げた。その目は、今にも溢れんばかりの涙を湛えていた。

グリムジョーはそこに唇を寄せ、涙を吸い取ってやる。反射的にウルキオラは身を竦ませるが、抵抗はしなかった。






それからグリムジョーはウルキオラの瞼や額、頬など至る所に唇を落とす。


「…ん。グリムジョー、くすぐった…い…///」

「お前が可愛すぎんだよ」


最後にウルキオラの唇に口付ける。


「ちったぁ安心したか?」


笑みを浮かべながらウルキオラを見ると、僅かに顔を赤らめながらも頷いた。


「ったく、余計な心配しすぎなんだよオメーは。俺がお前から離れるわけねーだろうが。ま、頼まれたって離すつもりは無ぇけどな」


その言葉にウルキオラは目を見開く。それを見たグリムジョーは少しむっとした。


「何だよ、信じられないってのか?」

「だって…夢……」

「だぁから、そりゃただの夢だってさっきから言ってんだろうが」


それでもまだ不満そうなウルキオラに、グリムジョーはある行動に出た。


「なっ…グリムジョー!」


ウルキオラの両手首を押さえ、グリムジョーは彼を組み敷いた。突然の出来事に慌てるウルキオラ。


「は、はなせっ。そこをどけグリムジョー…!」

「やーだね。お前が俺を信じられないってんなら、体で教えてやるまでよ」


そう言ってグリムジョーはウルキオラの項に唇を寄せる。


「んっ…グ、グリムジョー…っ。わかった…!信じるからっ、やめ……あ…っ」

「ホントか?」

「う…んっ…」

「よし。んじゃぁ寝直すとするかっ」


そう言ってあっさりと行為を止めたグリムジョーは、ウルキオラを抱きしめたままベッドに横になった。


「えっ…お、おいっグリムジョー…?」

「なんだよ、朝まで起きとく気か?」

「そうじゃなくて…。このまま寝るつもりか?」


突然の切り替えについていけないウルキオラ。そんな彼の言わんとするところを読み取ったグリムジョーは、ああと合点がいった様子で笑った。


「な、何がおかしい!?」

「ははっ、いや、お前可愛すぎっ」


ぎゅっとウルキオラを抱きしめてしばらく笑っていたグリムジョーだが、殺気を感じたので慌てて笑うのを止めた。


「お前一人だとどうせまた嫌な夢でも見んだろ?だったら俺が一緒に寝てお前の不安を取り除いてやるって言ってんだよ。そうすりゃそんなもの見ずに済むだろうが」


どこからそんな自身が湧いてくるのだろう。でも、確かにグリムジョーの腕の中ならば安心して眠れるのもまた事実。


「…ふん。好きにしろ…っ///」

「へいへい。ったく、素直じゃねーなぁ?」


そう言って再びウルキオラに口付ける。

今度は軽く触れるだけのキス。


「まじないだよ、まじない。お前がまた嫌な夢見ないようにな」

「……//////」


照れ隠しと言わんばかりにウルキオラはグリムジョーの胸に顔をうずめる。

グリムジョーもしっかりとウルキオラを抱きしめる。


「…グリムジョー」

「ん?」

「ありがとう…」

「…!はっ、どういたしまして」


まさかのウルキオラの言葉に今度はグリムジョーが顔を赤らめた。


「おやすみ、ウルキオラ」

「…ん。おやすみ…」


そう言ってウルキオラは目を閉じる。やがて穏やかな寝息が聞こえてくると、グリムジョーはウルキオラの髪を梳きながら、彼の額に唇を落とす。


今度は良い夢が見られるように、と。








泡沫様から頂きました〜vVvV
私なんぞがキリ番を踏んでしまって、図々しくもリクエストしてしまって・・・・;;
心優しい泡沫様は私の無茶なリクエストをそれ以上のもので答えてくださって////
こんなに素敵なグリウル小説を頂いてしまいましたvVvV
ありがとうございます!!!!
本当に感謝してもしきれません;;
大事にしますね!!!
またなにかお礼でもしなくちゃ!!と思っています。
可愛くて甘々で素敵な小説をありがとうございました!!!
これからもよろしくお願いします!!!