bathroom
『イールの髪、洗わせて?』
事の発端はロイのこんな発言から。
ソファでくつろいでいた俺の髪を撫でたり指を絡ませて遊んだり・・・・・・。
そうやっていたかと思った矢先の話だった。
『なぁ、ダメ?』
『・・・・勝手にしろ』
『やったぁ!じゃぁ今日の夜一緒にお風呂入ろーなッ』
決まったら決まったで準備してくる・・・・と部屋に戻ったロイだったが・・・・バスタオルや服を持ってくるのかと思いきや持ってきたのは・・・・・アヒルのおもちゃ。
湯船に浮かべて遊ぶやつだ。
もちろんパジャマも持ってきていたが・・・・・。
『なんでアヒルがいるんだ?』
『え?遊ぶためだろ?』
呆れてなにも言い返せなかった。
楽しんでいるようだし好きにすればいいが・・・・・。
実は一緒に風呂に入るのは初めてのこと。
一応は危機感とか恥じらいとか少しは持ってもらいたいんだが・・・・・ロイに望んだ俺がバカだったようだ。
『ふーろっ、ふーろっ!』
『うるさいカス』
脱衣所で服を脱ぐ間さえバタバタと暴れまわっている。
バッと服を脱ぐと、それなりに恥ずかしいのか、“先に入っている”と、俺に隠しながらそそくさと中へ入っていく。
もちろん片手にはアヒル。
俺は一度深呼吸をしてから、風呂の中へ入った。
中に入ってまず目に入ったのがロイの裸・・・・・ならよかったのだが・・・・・・そんなのとは程遠い・・・・湯船に浮かぶアヒル。
『可愛いだろ〜?なんか和むよなぁ』
ケラケラと笑うロイを横目に、俺は深いため息をついた。
そしてドカッとイスに座る。
『髪洗え。洗いたいんだろ?』
『うん!洗うっ!!』
ロイは座る俺の後ろに回り、シャワーのコックをひねった。
長い髪に丁寧にシャワーをあて、満遍なく濡らしていく。
全体が濡れたら手にシャンプーを取って泡立て、俺の髪に馴染ませていく。
他人に洗ってもらうなんて記憶にある分では始めてのことで、すごく気持ちがいい。
『うまいな』
『え?』
『洗うのがうまいな。気持ちがいい』
『ほんと?!嬉しいな〜』
鏡越しに目が合い、ロイが照れ笑いするのが見える。
それでも洗っているときは真剣で、そのいつもは見れない顔に少しおかしくなる。
頬には泡が飛んでいて、一層ロイを幼く見せた。
『長くて綺麗な髪・・・・・。洗うの面倒じゃない?』
『慣れたらそうでもない』
『そっかぁ〜。あ、流していい?痒いとこない?』
『あぁ、ない』
『じゃぁ流すよ〜。目瞑ってて』
言われたとおり目を瞑ると、お湯の温かさが頭皮にしみこんできて、背中を伝ってお湯が流れていく。
『出来た〜。満足満足!』
『そんなに洗いたかったのか?』
『うん!っていうより・・・自分が洗ったイールの髪をずーっと触ってたいんだ』
『また訳のわからない・・・・』
『わかんなくていいもん。俺がしたいだけ』
『生意気なことを・・・・・。ほら、交代だ。ココ座れ』
『洗ってくれんの?!やったぁ〜』
イスから立ち上がりロイを座らせる。
ロイと同じようにシャワーで濡らし、シャンプーで泡立て洗っていく。
柔らかな髪が気持ちいい。それを楽しむように指に絡ませるとロイは後ろに立つ俺にもたれこむような体勢を取る。
『気持ちいいのか?』
『うん!すっげー気持ちいい』
擦り寄るロイの髪を撫でる様に洗い、シャワーで泡を流す。
ペタンコになる髪をワシャワシャと撫でてやると濡れた髪はそのままの変な形で固まる。
それに笑ってやるとロイは少し膨れながらその髪を手櫛で直す。
またペタンコになった髪を今度は優しく撫で、立ち上がろうとするロイをそのままイスに座らせた。
『体洗ってやるからそのままじっとしてろ』
スポンジに石鹸を塗り付け、それでロイの体を擦る。
まずは首。少し顎を持ち上げ首を反らせてからスポンジを滑らせる。
赤くなるロイの顔を見るのが楽しい。
そこから腕に滑っていき、指の股まで丁寧に洗っていく。
くすぐったいのか体をむずむずと動かしている。
両腕とも同じように洗った後、次は胸。
鎖骨に沿って洗い、だんだんと下へ降りていく。
そのとき、スポンジが胸の突起を擦った。
『・・・ぁ・・・っ』
ふいに漏れたその声にロイの顔はみるみるうちに紅く染まりだす。
俺はニヤニヤと笑ってもう一度そこを往復させる。
徐々に芯を持ち出すそこは滑るスポンジに引っかかるようになり、ロイは必死で声を抑えながら胸の上で遊ぶ俺の手を掴んだ。
『イー・・・・・ル・・・・っ』
『なんだ?洗っているだけだろう?』
『それ洗ってるって言わないじゃんっ』
『へぇ、じゃぁこれはなんて言うんだよ?』
そんな意地悪な質問をしてやると、ロイは答え方がわからずグッと言葉を詰まらせる。それをいいことにロイの手を振り払うと、俺はまたスポンジを滑らせた。
細すぎるくらいの薄い腹を洗い、後ろに回ってもう1つのイスに座り肩から背中を洗う。
細い腰を撫でた後、俺は唐突に手を前へ滑らせた。
密着する体とふいに前に滑ってきた俺の手に驚き、ロイは声を上げる。
『ちょっ!イール!!なにしてんだよッ?』
『ん?悪い、手が滑った』
『んなことあるわけ・・・っぁ』
胸を撫でると泡でよく滑り、その泡に埋もれていてもツンと立つ突起はすぐに探すことが出来た。
わざとらしくそれに指を滑らせこね回し、もう片方の手は体全体を撫で回しながら下へ下へ。
そして少しばかり反応しているロイ自身に手を伸ばした。
さすがのロイもそこまで来ると本気の抵抗を見せる。
俺の手首を握り、そこから外そうとしてくるが、俺が少し力を入れ握ると、ロイの体はビクッと跳ねた。
『イール!!ヤダってばッ!!』
『だから洗ってるだけだろう』
『いい加減にしろよイール!!それにそんなとこぐらい自分で洗うし!!』
『いいから黙ってろ・・・・ロイ』
耳元で名前を呼んでやるとロイの体が一瞬強張った。
俺が名前を呼ぶのは本気の証拠。
それもロイはわかっているからさらに抵抗する。
身を捩り、抱き包むようにしている俺から体を離そうともがく。
『やッ・・・・・イールっ・・・・なに考えてんだよッ・・・・こんな・・・・とこで』
『嫌か?』
『いやに決まってんだろ?!明るいし・・・・・声響くし・・・』
『ふ〜ん・・・・・。気にするな』
『なッ?!ぁ・・・っ・・・』
容赦なく手を動かしながら耳を甘噛すると、ロイの体から一気に力が抜け、甘い声が風呂場に響き渡った。
胸の突起を弄る指は泡で滑りどうしても爪を立ててしまう。
引っかくような形になり、ロイが顔をしかめるが、同時に下の方も弄ってやっていて、こっちは泡の滑りで気持ちいいらしく目に涙まで浮かべている。
『んッ・・・・んぁっ・・・・』
『いつもより感じてるな・・・・』
『そん・・・・こと・・・な・・・っ・・・はぁ・・・っ』
完全に芯を持ったそれは俺の手の中でフルフルと震える。
今にもはち切れそうなそれに容赦なく刺激を与えてやるとロイは体全体を震わせ悲鳴に近い声を上げながら俺の手の中に達した。
熱で火照った体。肩で息をしているロイがまた抵抗を始める前に、そっとロイの体を自分の方にもたれさせる形で倒し、足の間の秘めた場所に手を這わす。
さすがのロイも俺の意図に気付いたらしく、俺を振り返ったがその唇をキスで塞いで、ロイがさっき出したものを塗り付ける。
そこを撫でるように解していくと、初めは見開かれていたロイの目がだんだんトロンと熱を帯びた目に変化してくる。
そうなるともうこっちのもので・・・・・。
ロイの出したものと、泡のおかげでそこは難なく指を飲み込んでいく。
表情からも苦痛は感じ取れず、むしろ蕩けきっている。
中で指を曲げよがる所を擦るように出し入れを繰り返す。
『ぁ・・・っ・・・・ふぁっ・・・・』
少しずつ広げながら指を増やす。
そろそろいいか・・・・とその指を引き抜くと、ロイの体を抱え上げ自分の膝の上に座らせる。
俺自身が当たったのか、一瞬ビクッと体を震わせるロイの背中に口付け、耳元に唇を寄せる。
『挿入るから力抜いとけよ・・・・』
『ぁ・・・・ぁあっ・・・・・んくっ・・・はっ・・・・ぁ』
俺自身の上に腰を下ろしていくように沈める。
泡の滑りでいつもよりもスムーズに挿入っていき、力を抜いたらそのまま奥まで刺さりそうだった。
しかしそうはせず、ゆっくりとロイの体を下ろしてやると、その分感触がじわじわと伝わってくるらしく、ロイが身悶える。
いくら滑るとは言ってもやはり中は狭く、きゅうきゅうと俺自身を締め付ける。
やっとのことで全てを納めると、ふと前の鏡が目に入る。
苦しそうに短い呼吸をしているロイと目が合い、その瞬間ロイの火照った顔はさらに朱に染まっていく。
『見るなっ・・・て・・・・イールっ・・・・』
『なぜ?こんなに可愛いのに・・・・・』
ロイの体を支えながら、主張しているロイ自身に手を這わせると、ロイはきゅっと目を瞑った。
やわやわと手を動かしてやると、自然とロイの腰が動く。
それをニヤニヤと見ながら俺もそっと腰を動かすとそれに合わせてロイの腰も揺れた。
『動いてる。そんなにいいか?ちゃんと見てみろよ・・・・目開けて、自分の姿・・・』
『ん・・・・ぁっ・・・・やぁ・・・・っ』
トロンと目を開けたロイは鏡に映る自分を見るとまた目を硬く閉じる。
腰の動きを止めたくても止められないらしく、それでも動きづらいのか、もどかしそうに腰を振る姿が艶かしい。
『も・・・やだぁっ・・・・足り・・・なぃッ・・・イール・・・ッ』
『んじゃこっち向け・・・』
一度ロイから自身を引き抜き、ロイの体を反転させ、同じようにまた腰を下ろさせる。
向かい合って抱き合う形で。これなら落ちる心配もなく、鏡が目に入らないため目を開けられる。
『しっかり動けよ』
『んぅっ・・・・イールもっ・・・・動・・・ぃてっ・・・』
『わかってる』
『あっ・・・・ぁ・・・・ふぁッ』
下から突き上げるように腰を振る。
ロイは俺にしがみ付きながら快感をやり過ごすように肩に噛み付いてくる。
さっき探し当てたよがるところを擦りあげると、ロイは背中を弓なりにしならせた。
目に涙をためながらキスを強請るその唇に吸い付くと、ロイも夢中で俺に唇をすり寄せてくる。
そろそろ限界が近いらしくロイの呼吸が速くなる。
俺ももう我慢出来なくて、一気に腰を振るスピードをあげた。
『あぁッ・・・・だ・・・めッ・・・・イールっ・・・出ちゃ・・・・っ』
『出していい。俺も、ヤバイ・・・・・』
しがみ付いてくるロイの腰を持ち、一際大きく突き上げた瞬間俺とロイは同時に果てていた。
ロイはそのまま意識を手放した。
『ん・・・・』
『起きたか?』
『ココ・・・・って・・・湯船?』
『あぁ。お前が気絶したからもう1回体洗いなおして風邪引くから湯船に入れた』
『そっか・・・・サンキュー、イール』
ロイを後ろから支える形で湯船に浸かっている。
ロイはまだ夢心地で俺を振り返って礼を言ったあと、ふと前に浮かぶ黄色い物体を見つけた。
持ってきたアヒル。
それを嬉しそうに手に取った後、何を思ったのか、ロイはそのアヒルの口ばしを俺の唇に引っ付けてきた。
そして、それを今度は自分の唇に引っ付ける。
『へへ〜。間接ちゅぅ』
『・・・・そんなものいらないだろう。キスなら・・・・』
ロイの顎を掴みこちらを向かせてチュッと唇を合わせる。
何度も何度も、合わせては離して。また合わせては離して。
『間接じゃなく直接してやる』
少し紅くなる頬にチュッともう一度キスしてやって後ろから抱きしめた。
アヒルに少し嫉妬したことは胸に秘めて・・・・・・。
end