good morning kiss
なんでか早く目を覚ましてしまった休日の朝。
隣には当然のように寝ている恋次。
妙に照れくさくて身じろごうと体を動かす。
そのはずだったが体が動いてくれない。
ふと体に重みを感じ、体が動かなかった理由がわかった。
恋次の腕が俺を抱きしめるように乗っかっているから。
腰のあたりに巻きつくように乗っかっているその腕の重みは心地いい。
起こすといけないから体を動かすのを諦めてジッと恋次の寝顔を見つめた。
静かな寝息と共に上下する胸。
普段は後ろにまとめている長い前髪が顔に掛かって、その隙間から眉毛と繋がった刺青が覗く。
そっとその髪を横に流すように掻き分ける。
鋭い目は今は閉じられて、その鋭さが見られない。
しばらくはその寝顔を見つめていたものの、変わらない表情にだんだんと飽きてくる。
そこで、眠る恋次の肩にかかる長い髪に目が行く。
俺はその髪をそっと手に取り、指を通す。
意外に手入れが行き届いていてさらさらしてる。
いい匂いもして触り心地がいい。
その髪をそっと口元に持って行って軽く唇を当てる。
その時、腰に回された手がピクッと動くのを感じ、恋次を見ると丁度まぶたを揺らせて薄く目を開くところで・・・・・。
『・・・・・いちご・・・なにしてんだよ?』
『なにって・・・・・おはよ』
『ん〜〜〜〜・・・・・・ぉう・・・・』
まだ寝ぼけ半分のくせにおはようのチューは忘れない。
でも・・・寝てしまいそうになってる。
朝も早いし・・・・・無理に起こす必要もない。
だから俺は恋次の髪をゆっくりと撫でながら恋次に寄り添う。
恋次はその俺の体を抱きしめまたトロンとまぶたをおろした。
それからすぐに聞こえてくる規則正しい寝息に誘われるように俺もまた深い眠りについた。
ふと目を覚ますと、俺に寄り添って眠るオレンジが目に入った。
そういやさっき1回目を覚ました気がする。
さっきはまだ外も暗かったが今はだいぶん日が入ってきている。
でも・・・・・起きるのはもったいない。
せっかく一護がひっついてくれてんのに。
そっと背中を撫でると、少しだけ身じろぐ。
眉根をひそめるその額に口付けると、ゆっくりと瞳が開いた。
数秒俺をじっと見つめる一護。
『起きたか?』
『ん〜・・・・』
『寝ぼけてんのか?』
声をかけてもろくな返事はせず。
さらにぎゅっと俺にしがみつく一護。
短髪を撫でてやると、ふいにムッと顔をあげる。
それに驚き手を止めて俺もジッと一護を見返すと、またもぞもぞと顔をすり寄せてくる。
それに俺はピンと来た。
『甘えたいんだな』
『・・・・・・うるせぇ・・・・眠いんだよ』
『嘘付け。起きてるくせに』
それに対しての返事はなく、俺も別になにを言うわけでもなく、心の中で図星なんだなとだけ解釈しておいた。
現に一護は顔を上げもしないし動きもしないが起きていることは確かだ。
でもそれだけじゃ俺もつまらない。
起きてるなら顔が見たい。
だから俺はゆっくりと一護の髪や背中を撫でて一護の顔を上げさせてからおはようのキスをした。
そのキスはしばらくやむことがなかった。
end