My name is・・・・?





 誰もが持ってるもの。

当たり前のように使っているものが・・・俺にはないんだ。

それが悲しいなんて思ってなかったし、欲しいとも思ってなかったのに。

今はそれがすごく欲しくて、ないことが悲しい。

きっとこれも・・・・・・アイツという存在が出来たから。







『そぉいやお前・・・・・・名前なんていうんだよ?』

『名なんかねぇよ』



 今一番触れて欲しくなかった話題だったのに・・・・・。

きっと一護も困った顔してんだろうな。

この話題振った事後悔してるに決まってる。

だから俺はいつも名前がないことなんかさも気にしていないかのように振舞う。


 今もそうしようとパッと一護を見ると・・・・・・・何かを真剣に考えている顔。

俺にどんな言葉をかけようか考えてんのか?

俺はそんな言葉いらない。望んじゃいないから。

慰めなんかいらねぇから。

そんな悩んだ顔されんのが一番嫌なんだ。



『一護・・・・俺は別に・・・・』

『名前考えねぇとだな!!お前なんて呼ばれてぇ?なにがいいかな〜・・・・』



 俺は目を見開いた。

だって思いもしなかったんだ。

一護が俺の名前考えてくれようとしてたなんて。

だって今までそんなやついなかった。

俺に名前つけてくれようなんてしたやついなかったんだ。

戸惑いを隠せない。



『おい、どうしたんだよ?俺余計なことしてるか??』

『・・・・・・しい・・・』

『ん?』

『名前が欲しい・・・・・』

『おう!なんにすっかなぁ〜』



 本気で考え込む一護を見て自然と笑みがこぼれた。

名前が出来るという喜びもあったけど・・・・・

一護が俺のためにこんなに悩んでくれてることが嬉しかった。



『・・・・・白・・・・・シロ・・・・・?』

『・・・・なんか犬みてぇなんだけど・・・・』



 文句を言うのはちょっと気が引けたが、さすがにこれから一生つく名前だ。

一応気に入った名前がいい。

でも一護の脳内ではなぜか“白”が離れないらしくさっきから白・・・白・・・と連呼している。

確かに俺は全体的に白いが・・・・・。



『白・・・・・おぉ!!!ハクってどうだ?!』

『ハク・・・・・?』

『漢字で書いたら“白”だけどな!』

『・・・・・シロより断然いいな』

『気に入ったか?』

『あぁ、気に入った。・・・・サンキュー一護』

『これでやっと名前で呼べるな、ハク』

『もっと呼んでくれよ一護』



 何度も何度も、今までなかった分を埋めるように呼んで欲しい。

大好きなやつがつけてくれた大好きな名前だから。




    You are name?

       ――My name is Haku.






                                                                 end