今日はここ、帝響学園の入学式。

緊張した面持ちで、門をくぐる新入生達を、教室の窓から覗く上級生達。

桜の花びらが風に舞う、まだ少し肌寒いこの日に・・・・・・・運命の歯車は回り始めた・・・・・。







 (あーーーーだりぃ・・・・。今日が入学式なんざわかってたら来なかったのによぉ・・・・。)


 しょっちゅう学校をサボる俺は、当然昨日も学校に来ていなかった。

まさか今日が入学式だったとは思ってもいなかった。

入学式の日なんか普段よりも学校に来る意味なんざねぇのに。


(帰んのもダリぃな・・・・屋上で寝るか・・・・)


 そう思って校舎に向かおうとした瞬間・・・・・

目に止まったのは新入生の塊・・・・・・の中の漆黒。

浮かれてヘラヘラしてるヤロー共の中で一人、冷めた目をしていた・・・・・。

周りの茶髪よりも、その黒に目がいったのは・・・・その冷めた目の・・・・綺麗な翡翠と・・・・透き通るほどの白い肌のせいだろうか・・・・?

俺はしばらく目を離せなかった。



―――――――――ぶつかる視線。


一瞬だけ、やつがこっちを見た。

その視線はすぐに離されたけれど・・・・・。

その一瞬の鋭い視線に・・・・・この俺が・・・・・・

・・・・・射抜かれた。







 ザワつく体育館。

それもそのはず。

この俺が、入学式に出席しているのだから。




「なんでグリムジョーがココにいるんだよ??」

「真っ先にサボると思ってたけど・・・・・」

「また死人出るんじゃないか・・・・??」




 ボソボソと小さな声で喋ってはいるが、全部聞こえてんだよ。

いちいち煩ぇ。

俺だってほんとはサボる気だったつーんだよ。

アイツにさえ会わなきゃ・・・・・・。



 そう、あの新入生。

名前もわからないアイツが気になって仕方なかった。

もっと見ていたくて・・・・・俺は屋上に向かうはずだった足を逆に向けて、体育館に向かったのだ。

当然、俺の周りには誰も座らない。

3年の先輩でさえも、俺を恐れてよってこない。

その方が楽でいいがな。






新入生挨拶。新入生代表、ウルキオラ・シファー




 式の進行を勤める教頭のアナウンス。

辺りがざわめき、ふっ・・・と台上を見ると・・・・・。


アイツがいた。







「すっげぇ美人じゃね?あの新入生」

「白いしちっちゃいし可愛いなぁ〜。新入生代表ってことは・・・・頭もいいんだ」

「やべぇ・・・・俺あの子に惚れそう・・・・」





 この人数を前にしても、淡々と文章を読む姿勢。

落ち着いた声・・・・・・・・。

名前・・・・・なんつった・・・?

・・・・・ウルキオラ・・・・・シファー・・・・・・・・・・。

ウルキオラ・・・・ね。

気に入った・・・・・・・・・・アイツ、誰にも渡さねぇ・・・・・・・。

ぜってぇ俺のものにする。