気持ちの連鎖
今俺がボスから受けている命令は・・・・・・
ココに居ろ
というもの。
ココってのはつまり、ボスの部屋。
こんなのが命令なのかと聞かれると苦しいが・・・・・
ボスの命令は命令だぁ。
本心を言えば・・・・・
傍に居れて嬉しい。
なにをする訳でもない。
会話もない。
だが、同じ空間にいれるだけで十分だ。
それで十分だと思ってた。
『おい、カス鮫』
ふいに呼ばれ、見ると人差し指を一本くぃっと・・・・
つまり、こっちへ来いということ。
呼ばれるまま、長いソファに座るボスの傍へ行くと、座れ≠ニ言われた。
言われるまま腰を下ろすと、ドサッとボスが寝転がる。
ただその寝転がった位置が・・・・・・・・・・・・
俺の膝に頭を乗せているところで。
『ぅお゛ぉぉぃッ!!何してんだボス!?!?』
『うるせぇぞカス鮫!!黙って枕になってろ。俺は眠い』
『眠いって・・・・・・俺を枕にする必要ねぇだっ・・・・・・・クソッ・・・・』
狸寝入りなのか本気で寝たのか。
文句を言う俺を無視でスースーと規則正しい寝息を立てるボス。
なにもかもがどうでも良くなって、途中で文句を言うのを諦めた。
寝てるときでさえ眉間に皺を寄せたまま。
ボスが寝ちまったら退屈だぁ・・・・・
だが・・・・
さっきよりも縮まった距離。
触れているところが熱くて・・・・・。
この感覚を憶えちまうと、
同じ空間に居れるだけで満足出来ていたはずの心が満足出来なくなって・・・・・・・・・
『どうしてくれんだ・・・・・・ボス』
静かに響いた自分の声が虚しく消えた。
本当に今自分が声を出したのかもわからないぐらいに。
返事がないことはわかってはいるが・・・・・
それでももう一言。
『早く、起きろぉ・・・・・・』
起きて、俺を殴るでも蹴るでもすればいい。
それでもいいから・・・・・ボスと話がしたい。
この距離は嬉しいけど・・・・・・・寂しいからなぁ・・・・・・。
数分後、目を覚ましたボスは、
殴る訳でも
蹴る訳でもなく。
『なんて顔してやがんだ・・・・・・カス』
こう言って
俺の髪を撫でたんだぁ。
end