無言の愛
『い゛・・・・・っ』
えらく大人しく首筋に鼻先を埋めていたと思った矢先にこれだ。
キリリとした痛みに顔をゆがめて、ヤツの髪を引っ張ってそこから剥がす。
喉を鳴らして低く笑う声。
ニヤリと口元を歪めている憎たらしい顔を睨む。
『なんだカス、言いてぇことあるなら言え』
『・・・・・・なんでテメーはすぐに噛むんだぁボスさんよぉ』
『痕残してやってんだろぉが。俺の痕を』
『そんなもん誰が欲しいっていったんだぁ?』
『テメーの言い分なんかどぉでもいいんだよ。俺がつけてぇからつけてんだ。カスは黙って付けられてればいいんだよ』
『ぅお゛ぉい!!俺はいてぇんだよ!!!』
『知るか』
痛いという言葉を簡単に無視して。
ザンザスはまた俺の首筋に歯を立てる。
ひでぇやつ・・・・・なのに。
ムチの後に与えられるアメは極上に甘い。
噛み痕の残るそこに、濡れた舌を這わされればゾクゾクとしたなにかが湧き上がってきて。
首筋からツーッと上がってくる舌に耳を捕らえられると口から出る吐息を止めることが出来なくて。
力が入らなくなった体は、刺激を与えるヤツにすがるしかなくなる。
『息あがってるぞ・・・・カス』
『う・・・るせぇ・・・・・・っ・・・・』
甘い言葉なんざないけど・・・・・。
つーかそんなんザンザスが口にしたら気色悪いだけだけど。
言葉なんかよりよっぽど確実な・・・・・・
コレで十分だ。
『いっっっ・・・・て!!!!』
『うるさいカス』
アメの後には必ずムチがあって・・・・・。
明らかにムチの方が多いとしても。
その唇で・・・・・
無言の愛を教えてよ。
ただひたすらに・・・・
このカラダに刻み込んで・・・。
end